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心が読めたら怖い
第一章

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                心が読めたら怖い
 ある漫画を読んでだ、大学生の土方梨衣はこんなことを言った。大きな愛嬌のある目で黒髪をショートヘアにしている、丸い感じの顔で唇は大きく背は一五二位で色白で青い半ズボンから奇麗な足が見えている。
「人の心が読めたら麻雀勝ち放題ですね」
「そう言うか」 
 梨衣のサークルの部室の中での発言に先輩の近藤佳織はこう返した、茶色にした髪の毛を長く伸ばし切れ長の木の強そうな目をしている。赤の唇は大きく鼻が高いやや面長の顔である。背は一六七程で見事なスタイルだがロングスカートにブラウスで露出は少ない。
「君は麻雀を知らないが」
「いや、ふと思ったんです」
 その漫画を読みながら応えた。
「トランプでも何でも」
「相手の心が読めると強いか」
「それで勝ちまくって」
「儲けられるな」
「そうだって」
「人の心が読めるとな」
「テレパシーですね」
「それだな、しかしだ」
「しかし?」
「人の心が読めるといいか」
 サークルの部室のパイプ椅子に座ったままだ、佳織はやはり部室のパイプ椅子に座っている梨衣に言った。
「果たして」
「ですからギャンブルに勝って」
「ギャンブルには勝てるな」
「はい、これ最高ですい」
「君はそもそもギャンブルをしないが」
「負けるかも知れないことはしない主義です」
 確実性、それを重視しているというのだ。
「私は」
「賢明だな、しかしだ」
「しかし?」
「人の心が読めることがいいという考えはどうか」
 これはというのだ。
「果たしてな」
「それは違いますか」
「若しもだ」
 佳織は腕を組んで言った。
「口ではいいことを言ってもだ」
「あっ、裏でですね」
「最近の日本の野党はそれすらないが」
「野党っていうと」
「いつも国会で政治の話をしないでスキャンダルばかり言ってるな」
 そうしたというのだ。
「あの野党だ」
「正直投票したくないですね」
「あんな連中に投票しないのも政治だ」
「そうですよね」
「かつてあの連中は口触りのいい政策ばかり言っていた」
 今はそれすらなくなったがというのだ。
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