ドラシール大決戦
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「この世は君のようなクズ飼い主がペットを虐待しているんだな」
殴られたダメージは幽霊である彼にも引き継がれるようで頬に新しくできているアザを擦りながら忌々しそうにこちらを見ている幽霊。
「いいえ、セシリーは仲間です。ペットじゃありません。
仲間だから悪口も言うしケンカだってします。だから助ける時は何だってできるんです」
ちょっと強引でもそれが彼女のためになるのならいくらでもやってやる。それができるだけの信頼関係が俺たちにはあるんだから。
「だからこれ以上、仲間には手を出させない!!」
爪を立てた手で引っ掻くように魔法を放つ。一向に反撃をしてこない幽霊だったが、彼は突如空へ飛び上がるとどこかへと飛び去ろうとする。
「逃がさない!!」
優勢なのは俺。それならばここは逃がす意味はない。そう思い追いかけようとするが、不意に目に入った泣いているセシリーを見て心が揺らぐ。
「うわ〜ん!!なんか痛いしシリルは起きないしそして痛いよ〜!!」
「うっ・・・仕方ない・・・」
彼女を悲しませている事実に良心の呵責が耐えきれなくなった俺は一度身体に戻ってみる。
「殴ってごめん、セシリー」
「ぎゃああああああ!?」
どうやら出入りも自由にできるみたいで元の身体に戻って開口一番謝罪するとセシリーはまるでお化けでも見たような反応をしていた。
「ちょっと幽霊さんを倒してこなきゃ行けなくなったから、しばらくこの身体を守ってて。それじゃ!!」
必要なことだけは伝えてすぐに思念体へと戻り幽霊を追いかける。再び意識を失っている俺の身体の前にいるセシリーは何が起きているのかわからず呆けていたが、それに構うことなく幽霊を俺は追いかけた。
第三者side
ドゴォンッ
巻き上がる粉塵。その中心で一緒に空へと打ち上げられている桜髪の青年は苦悶の表情を浮かべていた。
「ぐっ・・・やっぱこうじゃなきゃな・・・」
地面に着地しながら口元の血を拭う。口では余裕を覗かせているものの、防戦一方になっている状態に内心では焦っていた。
「ナツ、お前じゃ俺には勝てない」
「あぁ、だろうな」
ギルダーツからの言葉に嬉々とした表情でナツは答えた。その予想外の返答に困惑しているギルダーツを見て、ナツは笑みを浮かべる。
「それでも俺は負けらんねぇんだ」
脳裏に浮かんでくる男たちの顔。それは全て彼が負けてきた敵のものだった。
「俺の周りには強ぇ奴がいっぱいいるからなぁ、助かるぜ」
何度もケンカしてきたギルドの仲間たち、一度は破れながらも勝利を納めた相手、勝利することが叶わず打ち砕かれた強敵、多くの相手の顔が
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