第一章
[2]次話
ガラスの靴のないシンデレラ
交際相手の八条映画東京支社の宣伝部で働いている宮田昌也に歌劇を観に行こうと誘われてだった、八条アニメでアニメーターをしている白井美帆はその作品のタイトルを聞いてからすぐにこう言った。
「チェネレントラ、シンデレラのことね」
「そうだよ、シンデレラだよ」
その通りだとだ、宮田も答えた。面長で細い眉に黒く短い髪の毛を持っている。小さな丸い目に小さな唇を持っていて背は一七五位で痩せている。
「要するにね」
「あの童話も歌劇になってるのね」
美帆は今はじめて知ったという顔で言った、顎の先が尖っていて長い睫毛の切れ長の大きな二重の目を持っている、唇は赤く大きめで長い黒髪をセットしており一六六程の背でスタイルはいい方である。
「いや、あらすじ知ってるならね」
「安心して観られるね」
「ええ、新国立歌劇場ね」
「あそこで上演するよ」
「じゃあ二人でね」
「行こうね」
「そうしましょう」
美帆はこの時この歌劇でもカボチャの馬車それにガラスの靴が出てシンデレラは最初泣いてばかりだと思っていた、だが。
ロッシーニの作品であるこの歌劇を観終わった後でだった、美帆は宮田に同棲しているマンションの一室に帰ってから言った。
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