第1話
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かつて、地上を我が物にせんとした男がいた。
だが、その男の夢は……まさに風前の灯火であった。
「……オレが生命を賭けてまで倒そうとしたアバンの使徒!それは不屈な魂を持った希望の戦士だっ!最後の最後まで絶望しない心こそがアバンの使徒の最大な武器ではなかったのかっ!!」
かつて男と同じ軍勢に所属していた筈のキルバーンの目論見により、男の敵であるダイとポップ諸共死の淵に立っていた。
が、敵である筈の男の叱咤によって奮起したポップがこの窮地を脱する術を絞り出し、なんとかダイを救う事に成功したが……
「何故逃げなかった?」
男に問われたポップが苦しそうに告げた。
「悪りィ……アンタにみとれちまった………あの時、おれたちを必死に生かそうとしてくれる、アンタを見たら………なんだか他人に思えなくって……アンタが絶対に助からねえって頭でわかっていても見捨てていく事に抵抗がどうしてもあって……だって、そうじゃねぇか……自分の誇りを賭けて……仲間たちと力を合わせて、努力して、おれたちと正々堂々と戦うために、必死に……必死に頑張りぬいてよ……おれたちとどこが違う?同じじゃねぇか!!」
そんなポップの言葉に、男は初めて神に縋った。
「……神よっ!人間の神よっ!魔族のオレが……はじめて祈るっ!もし本当に……おまえに人命を司る力があるのなら、こやつ(ポップ)をっ……この素晴らしい男だけは生かしてくれっ!オレのような悪魔のためにこやつを死なせないでくれっ!頼む……神よッ!!」
その願いが聞き届けられたのか……男のかつての宿敵がご都合主義的に現れてくれて、
「困りますよポップ。勝手に“あの世”なんかに逝かれちゃ…」
「アバン!?生きていたのか!?」
アバンと呼ばれた男は、かつての宿敵だった男を抱きかかえ、ポップを庇ってくれた事に礼を言った。
が、男はそれでも戦う道を選んでしまう。
「……ありがとう……とでも言うつもりか……?甘い!相も変わらず甘い奴よ!」
そう叫んだ男は、再度ポップに止めを刺しに来たキルバーンの身体を拳で貫き、
「大魔王バーンは恐ろしい男だ!情けは捨てろッ!冷徹になれッ!」
アバンにそう伝えると、男は再び地に倒れ伏した。
「ポップよ……おまえたち人間の神というのも……中々粋なやつのようだぞ!オレの生命とひきかえに……オレがかつて奪った大切な者をおまえたちに返してくれた…………そのうえ……オレの死に場所を……この男の腕の中にしてくれるとはな…………」
死力を尽くし生き抜いた嘗ての好敵手との再会に廻り合わせた人間の神への感謝の念を残しつつ、アバンの腕の中で灰となって散った。
その男の名はハドラー。かつて獄炎の魔王と呼ばれた男……
1人の少女が目を覚ました……
途端、仰天しながら飛び起きた。
(生きている!
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