FAIRYNAIL
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そこには確かにウェンディの顔があった。すごい鬼の形相の。
「誰?ウェンディって」
「へ?」
そんなことを言い出す彼女は何かがいつもと違う。匂いも普段と違うし変装なのかメガネをかけ、帽子まで被っている。そこで俺はあることに気が付いた。
「もしかしてフェアリーネイルってところにいた子役の・・・」
テッカの街であったウェンディにそっくりな天才子役ウェンディル。その人なのかと思い問いかけると、彼女はキョトンとした後、すぐに俺のことに気が付いた。
「あんたはエルキスさんに連れてこられてた確か・・・シリル?」
「そうそう!!」
ウェンディの顔から"あんた"なんて言われると違和感があるけどここは気にしない。どうやら彼女は俺のことをギルドにいた俺のそっくりさん・・・シリエルだっけ?その人と勘違いしていたみたい。
「でもホントそっくりね、あんた」
「君もウェンディにそっくりだよ」
生き別れの姉妹なんじゃないかというほどウェンディとウェンディルは似ている。彼女も同様のことを思っているようで、俺のことをじっくりと観察していた。
「聞いてもいい?」
「何?」
あらゆる角度から俺のことを観察していた彼女は正面に戻ってくるとそんなことを言う。すると彼女は無愛想だった表情から一転、なぜか笑顔になって質問してくる。
「シリルは男なの?女なの?」
「へ?」
嬉々として問いかけてくる内容がそれなのかと思っていたが、あまりにも彼女が楽しそうに聞いてくるため困惑してしまう。この子は一体何を期待してるのだろうか。
「俺も男ですよ、男の子」
「男の娘?」
「イントネーション!!」
子のイントネーションがソフィアたちのそれと同じだったことで突っ込みを入れる。それを聞いたウェンディルは残念そうに肩を落としていた。
「なんだ・・・女の子だったらよかったのに」
「いやいや、何がよかったんだよ」
確かシリエルも男だとエルキスさんが言ってたけど、同性の方が間違いなくていいと思うんだが・・・
「だって・・・女の子のシリエル見てみたいじゃない?」
「あぁ・・・」
顔を赤くして頬を押さえながら楽しげに身体を揺らしている少女を見て一人の少女が脳裏をよぎる。もしかしてここのウェンディはソフィア側の人間なのか?外見がウェンディなだけに中身があいつと考えると残念で仕方ない。
「男の子のシリエルもいいけど、女の子になったらシリエルも味わってみたくて!!」
「はいはい・・・ん?」
なおも何か言っている彼女を置いて逃げようかと思ったけど、少女の放った言葉に違和感を感じ、立ち止まる。
「味わうって・・・何?」
明らかに普通人に対して放つような発言ではない単語が聞こえたため問いかけると、
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