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【魔法少女リリカルなのは】魔導師を辞めた高町家の男
第一話 出会い
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 もう閉店時間は過ぎているから、残念だが帰って貰うか。


「すいませんが、もう閉店………士郎さん?」


 俺の目の前にいたのは血相を変えた俺の姉の夫、高町士郎が小さな赤ん坊を抱いて立っていた。

 なんだ、その赤ん坊は!?誘拐したのか?まさか、こいつ!!


「で、何の用ですか?」


 士郎さんに限って、誘拐なんてありえない。
 正義感溢れるこの人が自ら犯罪を犯すなんて思えないね。


「隼人君に一生の願いを言いに来たんだ」

「俺に?まぁ、いいけど」


 士郎さんは抱いている赤ん坊を俺の方に持ってきた。

 状況がいまいち伝わってこない。

 もしかしてあれか?『実は、この子は貴方と私の子なの!』って奴なのか?
 いやいや、相手は士郎さんだ、男だ。んなわけねえよ。

 じゃあ、あれか。桃子姉ぇとやったのバレたのか?

 ………やってないからな。昔の彼女と一回やっただけで他に誰ともやってないからな!

 じゃあ、何だよ?


「どういう事だ?」

「この子は、この前産まれた娘だ」

「娘って、桃子姉ぇ産んだのかよ!速く知らせてくれよ、パーティー開いたのに」

「まぁ、いろいろあってな。報告が遅れたんだ」

「いろいろって何だよ?」


 士郎さんの目が真剣になった。
 もしかして、士郎さんが前に言ってた仕事の事が原因ってことなのか?


「仕事の都合でな、ちょっと厄介な事に巻き込まれて……俺たちは日本に居られなくなった。恭也と美由紀達は大丈夫だが、その子はなのはだけは何も関係がないんだ。だから、隼人君に預けるのが一番安全だと思って、頼む、俺の一生の願いだ。なのはを俺たちの代わりに育ててやってくれ!君しか信用できる人はもういないんだ!頼む!!」


 こんな士郎さん初めて見た。
 一つの頼みの為にここまでして必死になっている男の姿を。

 なのはちゃんかぁ、良く見てみれば桃子姉ぇにかなり似ているな。顔もだが髪の色とか瓜二つじゃないか。ていうか、俺も栗色の髪だから一緒じゃん。

 で、だ。どうする?

 なのはちゃんの面倒を見るか見ないか。士郎さんは冗談を言う様な人間じゃない。だから、嘘ではないだろう。
 今の暮らしには余裕があるから大丈夫だな。

 仕方ない。


「わかった。俺が責任を持ってなのはちゃんを育てるよ」

「本当か!?」

「あぁ、但し条件がある」

「なんだ?」

「一回だけで良い、一分だけで良い、家の外からこっそり見るだけで良いから必ずなのはちゃんが成長した姿を見に来い。本当の父親ならできるだろう?お父さん」

「あぁ!いつか必ず戻って来る。だから、なのはを頼む」


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