暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth29偽神と共に夢想は墜ち、彼と彼女の別離が始まった〜FinalE〜
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で逃げてきたテウタ。だがそこでクラウスらに追われる羽目になった。まともに動く事も難しい今の彼女にとって戦闘行動を取る事など夢のまた夢。

「テウタ」

「っ・・・!?」

気配もなくいきなり声を掛けられた事でテウタはビクッと体を震わせ、自分の名を呼んだ者のいる方へと振り向いた。そこに居たのは1人の青年。テウタと同じ灰色の髪に翠色の瞳。テウタは激しく動揺しつつ、その青年の名を口にした。

「バルデュリス・・・お兄様・・・!?」

テウタの実の兄、バルデュリスだった。実父にして先王ゲンティウスを殺害して女王となったその日、テウタは実兄バルデュリスを投獄した。自らの義務、レーベンヴェルト再誕の邪魔になる者だとして。そんなバルデュリスが、実妹のテウタの前に姿を現した。

「臣下に出してもらったんだよ、牢獄から。・・・・父を殺害し、ミナレットならびにエテメンアンキを目醒めさせ、その力でベルカに災厄をもたらし、挙げ句イリュリアを敗戦させた」

「お、お兄、様・・・?」

俯きながらテウタへと徐々に歩み寄って行くバルデュリス。テウタはその言い知れない雰囲気に呑まれ、壁に体を預けながら後退していく。

「その罪は、当然の如くこの戦争を起こした女王たるお前にある、解るなテウタ?」

「そ、それは・・・!」

「故に償わなければならない。多くの臣下を戦場に送り出して殺したのはお前だ。無駄に他国の人命を両兵器で殺したのはお前だ」

バルデュリスが刀を携える。そして放つのは殺意だ。テウタは自分が殺されるのだと察し、「いや、いや・・・死にたくない・・」とうわ言のように繰り返し、フラつきながら廊下を全力で走る。

「妹でも、容赦は出来ない。解ってくれ、テウタ」

涙を流すバルデュリスは刀を上段に構え、勢いよく振り下ろした。刀身より放たれるのは魔力の含まれた剣圧一閃。テウタが辛うじて横に跳ぶ事で回避。

「え・・・あ・・っ?」

「さらばだ、テウタ・・・」

テウタの心臓付近より生える血の付着した刀身。バルデュリスがテウタを背後から貫いたのだ。刀身を抜かれたテウタはフラフラと前進し、そしてドサッと倒れ伏した。彼女から流れ広がっていく血溜まり。後々の次元世界の歴史に、古代ベルカの殺戮王として語り継がれていく事になるテウタは、実兄の手によりその生涯に幕を下ろした。

「終わりましたか? 陛下」

「ああ。・・・イリュリアの敗戦宣言は、次期イリュリア王の私が行おう」

バルデュリスは背後に現れた臣下たちにそう応じ、彼らはテウタの遺体に背を向けてその場を歩き去って行った。
この1時間後、イリュリアの王となったバルデュリスによって、イリュリアの敗北で終結した事がイリュリア全土に宣言された、こうしてベルカ半球を巻き込ん
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