気付き
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の青年は苛立ち始めていたが、グラシアンは不意に真面目な表情になる。
「さすがに言えねぇよ、あいつもいたしな」
急に真面目になった彼に面食らったカミューニだったが、その表情から彼の本気度も伝わったためこれ以上の追求は行わなかった。
「誰にも言うんじゃねぇぞ」
「いくらで?」
「殺すぞ」
「冗談だよ、冗談」
殺意に満ちている彼の目にいつものようにふざけながら乗り切る幻影の竜。彼らは話し合いが終わったからなのか、シリルたちがいるであろう街の方へ歩き出す。
「事情ぐらい教えてほしいもんだけどな、何が起きてるのか」
「それはまだ言えねぇ」
「なんで?」
「まだその時じゃねぇからだ」
何かを決意しているような彼の顔に茶々を入れることはさすがの彼でもできなかった。こうなっては彼から言えることは一つだけ。
「あんまり一人で抱え込まないことだな」
「余計なお世話だ」
目元にクマが浮かんでいる彼を心配しつつもそれ以上は何も話さない。それを思いやりと受け取ったカミューニもまた、何も話そうとはしなかった。
シリルside
評議院から頼まれた依頼から数日後、俺たちのケガの治療も終わり、ナツさんたちも少しずつ身体が本来の動きに近付いてきたところでカミューニさんからまた新たな依頼を受けた。
「はぁ・・・やっと具合が戻ってきた・・・」
その依頼を正式に受けに行く道中、俺とウェンディは乗り物酔いによっての気持ち悪さをリセットするために森の中で深呼吸している。
「まさか車輪が壊れちゃうなんてね」
「道も悪いしね」
「ナツくんのせいだと思うけどね〜」
フィオーレの首都クロッカスに向かっている最中、乗っていた馬車の車輪が壊れてしまいしばらく休憩となったことでひとまず一時生還することができた。ただ、またあの馬車に乗ると思うと気が進まないなぁ。
「そろそろ行こっか」
「そうだね」
「しっかりしなさいよ、シリル」
「そうそう〜」
ウェンディはシャルルを、俺はセシリーを抱えて元の道へと戻る。その時ちょうど休憩から戻ってきたと思われるナツさんとルーシィさんの姿を見つけたので声をかける。
「ナツさん!!」
「ルーシィさ−−−」
二人に声をかけようと手を振ろうとしたところ、俺たちはあることに気が付いた。二人の顔がかなり近いのだ。それはもうキスしようとしているのではないかというほどに。
「ご!!ごめんなさい!!」
「お邪魔だったでしょうか!?」
「ち!!違うのよ!!シリル!!ウェンディ!!」
顔を赤くしてすぐさま目を背ける俺とウェンディ。それに気付いたルーシィさんも顔を真っ赤にしていたが、もしかして二人
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