七十 生者の骸
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して酒を飲みたくなる衝動を堪え、窓から射し込む陽気な光に誘われる眠気に耐えながら、綱手は山積みになっている書類の一部を手に取った。
文面に眼を通していると、ややあって、ドタバタ、と騒がしく、足音が此方へ荒々しく近づいてくるのが聞こえてくる。
顔を顰めた綱手は、月光ハヤテと入れ違いのように入ってきたシズネを窘めようと、書類に眼を落としたまま、口を開いた。
「うるさいぞ。もっと静かに、」
手元の書類から顔をあげて注意しようとした綱手は、シズネの顔を見て、言葉を呑み込んだ。
「つ…綱手さま…ッ、あの…っ」
まるで幽霊でも視たかのような蒼白した表情で、シズネは言い淀む。
やましいことがあるというわけでも、後ろめたいことがあるわけでもない。
ただ、純粋に困惑している様子の付き人に、「どうした?」と綱手は言葉の先を促した。
「検死の結果…なんですが…」とシズネは視線を彷徨わせる。
やがて意を決したように、シズネが告げた名前に、綱手は凍り付いた。
「奈良一族の森で発見された遺体の身元が判明しました」
だってその名は。
今し方綱手と話し、命令を下し、火影室を後にした──…。
「………月光…ハヤテ、さん…です……」
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