七十 生者の骸
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な顔で、本体の長門のもとへ足を一斉に向ける。
ひとり取り残された──うちはサスケを連れて。
「『天』と『地』の巻物か…」
「一度使ったきりでは少々もったいない気がしまして…」
「しかし。同じ課題内容というのは…」
眉を顰める五代目火影の綱手は、いつになく積極的に進言する月光ハヤテの話に耳を傾けていた。
かつて行われた中忍試験。
その第二試験の課題はそれぞれ一本ずつ下忍の班に配られている『天の書』と『地の書』の巻物を、五日以内に森の中心にある塔まで『天地』の巻物二種類を揃えて持って行くという内容だ。
その際に使われた大量の『天』と『地』の巻物を、次の中忍試験でも再利用すべきではないか、という月光ハヤテの申し出に、綱手は頭を悩ませていた。
「確かに毎回試験課題を考えるのはめんど…ごほんごほん。…だが同じ課題だと前回の受験者から試験内容を聞いた受験者だけが楽をしてしまうだろう」
「それならば、巻物を途中で開いたら、失格者が燃えてしまうというのは…?」
「ふむ…火遁の術を巻物に仕込んでおくということか」
以前の中忍試験の課題では、巻物が揃っていない状態で開けば、催眠の術式が施されている巻物によって眠らされ、失格となるという仕様だった。
その睡眠の術式を火遁に変更すれば、巻物を開いた時点で炎に襲われるという、実に緊迫めいた状況に受験者は陥るだろう。
「しかし。試験官が間に合わないと受験者の焼死体が増えるだけだ」
月光ハヤテを次の中忍試験の試験官に任命する際に、中忍試験の課題内容について相談していた綱手は、暫し、熟考すると命令を下した。
「とにかく。『天地』の巻物の再利用は許可するが、火遁の術の威力を弱くするなど、改善点を考えろ」
叩頭して火影室から退室した月光ハヤテを見送って、綱手は椅子に深く腰掛けた。
シズネは今はいない。
シカマルが先日報告してきた奈良一族の森に埋められていた謎の死体。
その検死の為、席を外している。
故に、本来シズネが纏めたり、助言してくれる雑務などをしなければならなくなった綱手は、面倒くさそうに欠伸を噛み殺す。
中忍試験の課題内容に関して、つい月光ハヤテに意見を求めたのも、その一環だ。
まったく同じ課題内容なのは頂けないが、『天地』の巻物を再利用するのは悪くはない案だ、と綱手は、ハヤテが立ち去ったほうへ視線を投げた。
既に足音は遠ざかり、彼の気配もなくなっている。
何もかもを放り出
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