七十 生者の骸
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許へ運んで治癒させてもらうだけでもなく、もう一つあった。
それは本当の目的。
ペイン六道を遺体だと看破して、その正体である長門を捜し出す為に蛇に捜索させることが、大蛇丸の本来の狙いだった。
しかしながらその企みは、長門に近づく蛇に逸早く気づいたカブトによって、阻止された。
「大蛇丸の手の内は知り尽くしております」
にこり、と穏やかに微笑んで、カブトは長門の頬にべったりとついた蛇の血を拭い取った。
「しかし。これ以上は本当に命の危機です。更に寿命を縮めることになりますよ」
ペイン六道の遠隔操作の影響で、荒く肩で息をする長門へ、カブトは忠告する。
ただでさえ自来也だけでも長時間の戦闘を繰り広げたのだ。大蛇丸が加勢してから更に長引いた戦闘に、長門の身体がもたない、とカブトは眼鏡をくいっと押し上げた。
「医療忍者としては見過ごせません」と告げるカブトに、長門は苦い表情を浮かべる。
確かにこれ以上の戦闘は身体に負担がかかる。
更に今し方、自分の居場所がバレたばかりだ。
すぐにでも決着をつけねば、此処にいつ攻め込んでくるか、わかったものではない。
長門の不安を払拭するように、カブトは落ち着いた声音で「大丈夫ですよ」と床に転がった蛇の頭を拾い上げる。
その頭を片手でぐしゃり、握り潰した。牙の先には触れぬように抜け目なく。
そうして、優しげな笑顔でカブトは長門を振り返った。
「決着はもうすぐつきます。言ったでしょう?」
眼鏡を押し上げ様に、俯く。
面に浮かんだ表情を隠して、カブトは含み笑った。
「手の内は把握している、って」
「──やられたッ、」
先ほどまでの余裕ぶりとは一転して、大蛇丸は苦虫を?み潰したような表情を浮かべた。
舌打ち雑じりのソレに「どうした?」と訊ねた自来也だが、一方で視線は敵を油断なく見据える。
六人中、四人倒したとは言え、残り二人。
警戒を怠るわけにはいかない。
大蛇丸と自来也の共闘で削ったペイン六道の戦力。
多勢に無勢だった以前とは打って変わって、形勢逆転した現状だが、大蛇丸が狼狽する様子を気にして、自来也は一瞬だけ敵から眼を離した。
それが、隙を生んだ。
「な、に…!?」
確かに倒した。
確かに倒したはずなのに、倒したはずのペインが次々と復活している。
どうやら残った二人の内のひとりのペインが、蘇生させる能力を持っていたようだ。
「…どうやら。振り出しに戻ってしまったようね」
蛇は視力がよくない。
だがその一方、左右の舌先の匂いの強さの違いから匂いの方向を調べられるのだ
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