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大阪幽霊談議
第二章

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「それがどないしたん?」
「いや、今度の席とつべの方で怪談やろう思てまして」
「それで最近勉強してるんやね」
「そうですけど」
 大阪の事務所の中で話した。
「何か勉強してましたら」
「何かわかったん」
「あの、義経さんが逃げてる時に戦った」
 その時のというのだ。
「平知盛さんですけど」
「ああ、あの平家物語にも出た」
「幽霊になって戦った時ですけど」
「確かそれって」
 マネージャーも言われて思い出した。
「碇知盛やったやろか」
「はい、知盛さん幽霊ですが」 
 そうなって出たがというのだ。
「足ありません?」
「あっ、そういえば」
 マネージャーも言われて気付いた。
「そやね」
「そうですよね」
「言われてみれば」
「それでその頃の幽霊って」
「足あるんやね」
「そんな感じで江戸時代の幽霊の絵を観たら」
 ジェーンはそちらの勉強もしているのだ。
「足ありますけど」
「そやねんね」
「これどういうことなんか」
「ちょっと調べてみる?」
 マネージャーはジェーンに身を乗り出して提案した。
「幽霊に何で足があったか」
「江戸時代までは」
「知盛さんは平安時代の人で」
「幽霊として出て足あって」
「それで何で今足ないか」
「はい、ちょっと調べますか」
「それも落語の勉強になるやろし」
 そこで備えた知識はというのだ、お笑いを行うにも学んで知識を備えることが必要だというのである。
「ほなね」
「そうしましょ」
「そうしよな」 
 こうした話をしてだった。
 ジェーンはマネージャーと共に幽霊の足について調べていった、するとすぐに何故足がなくなったのかわかった。
「丸山応挙って画家さんがおって」
「その人が足のない幽霊描いたん」
「何でも絵描いてる時にお茶飲んでてそれを絵に零して」
 ジェーンは自分達の部屋で津々子に共にお好み焼きを焼いてビールと一緒に楽しみながら話した、お好み焼きにはマヨネーズも忘れない。
「それで足がなくなったけど」
「それがかえってなん」
「ええ感じになって」
 それでというのだ。
「それが好評で」
「以後幽霊に足がなくなったんやね」
「そうみたいやで」
「そうやねんな」
「それまでは足あってん」
 幽霊にもというのだ。
「イギリスとか他の国みたいに」
「そやってんな」
「それでな」
 ジェーンはさらに話した。
「私等上本町におるやろ」
「それがどないしてん」
「このマンションの近くに口縄坂あるやろ」
「あそこな」
「あそこ織田作さんの碑あるけど」
 織田作之助、大阪に生まれ暮らし活動していた昭和の作家である、戦争前から終戦直後までがその活動期である。
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