第二章
[8]前話
「ですからアルヴィのことはです」
「いいのですか」
「はい、そうしたものはどうでもよく」
「神に仕える者の務めをですか」
「果たします」
そうすると言うのだった。
「ただそのことをです」
「お考えですか」
「左様です」
「そうですか、では」
「この修道院は思いを一つにして」
そうしてというのだ。
「神への務めを果たします」
「ではその様にされて下さい」
貴族も頷いた、そうしてだった。
マルケロは他の修道僧達と共にだった。
修行に励み慎ましやかな暮らしの中で神そして人への奉仕に専念していった、そうするとであった。
修道院はフィレンツェでも評判になり多くの者が素晴らしいと評価した、そうしてであった。多くの者が頼りにもする様になったが。
ふと気付けばだった。
修道院の壁だけでなく屋根にもだ、アルヴィが茂る様になった、それを見てだった。
マルケロにアルヴィのことを話した貴族は修道院を訪れて彼に話した。
「貴方は特に気にせずに神に仕えられましたが」
「そして神と人への奉仕をですか」
「されましたがそれによってです」
「アルヴィがですね」
「茂りました、ただ純粋に神に仕えると」
そうすると、というのだ。
「自然とです」
「アルヴィもですね」
「戻るのですね、ではこれからも」
「神と人への奉仕を続けるとですね」
「そうすればです」
「アルヴィは茂り続けますね」
「そうなりますね、正しく神に仕えれば」
そして神と人に奉仕すればというのだ。
「アルヴィは茂り」
「そしてですね」
「それを誤れば」
「アルヴィは枯れて」
「そして修道院自体もです」
「滅びますね」
「そういうことですね、では」
「はい、正しき信仰をです」
マルケロは貴族に答えた。
「これからも持ち」
「そうしてですね」
「そのうえで務めていきます」
「そうされて下さい」
「その様に」
マルケロは約束した、そしてそれからもだった。
修道院に正しき信仰がある様に務め神と人への奉仕に修道院全体で励んでいった、そうしてだった。
修道院にはアルヴィが茂り続けた、マルケロが世を去ってからも正しい信仰が残ったので。それは今もだという。フィレンツェに伝わる話である。
フィレンツェの蔦 完
2022・11・13
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