怪しい男
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シリルside
「「ハァ・・・ハァ・・・」」
俺とウェンディの渾身の一撃を受けた天使は地面へと倒れると微動だにしないままでいる。気を失っているのかと彼に一歩近付こうとしたところ、俺たちは突然起きた出来事に目を疑った。
「え?」
「何・・・これ・・・」
目を閉じて倒れている天使の身体がみるみる消えていき空気に同化していくではないか。その光景を俺は見たことがあり、思わず口元を抑えた。
「そういえばお母さんもグラシアンさんと戦ってた天使も同じことになってた」
自らの意志で死を選んだお母さんとグラシアンさんに敗北し身体が消失した天使。それから考えるに、今目の前で起きていることから言えることは一つしかない。
「これが天使が死ぬってことなのか」
レオンside
地面に倒れ動かない天使。それを見て俺とシェリアは戦いが終わったことを察し、目を合わせる。無事に勝利を納めた直後に目があったことで二人とも吹き出してしまった。
「やったね、レオン」
「あぁ。ありがとうな、シェリア」
シェリアが俺の手を取ってくれなければ恐らくこの結果にはたどり着けなかった。そう思い感謝の言葉を述べてすぐに彼女を引き寄せようとしたところ、目の前から物音が聞こえそちらへと視線を向ける。そこには先ほどまで意識を失っていたはずの天使が震える脚で身体を支えながら立ち上がっていた。
「何?」
「ウソでしょ?」
俺たちのあの攻撃を受けてもなおも立ち上がってくるその強さに目を見開く。すぐに臨戦態勢に入ろうと構えたが、さっきの影響か全然魔力が高まってこない。
「君たちは・・・」
このまま戦いになったらもう負けるしかない。そう考えていたところ、天使はふらつきながら顔を上げる。その顔を見て、俺たちは言葉を失い、構えを解いた。
「君たちは・・・愚かな・・・判断をした・・・後に必ず・・・後悔・・・するであろうミスだ・・・」
生気を失った瞳、俺たちに身体は向いているがその焦点はあっていない。顔色もみるみる色を失っていき、それに同調するように足下が消えているのが目に入る。
「もし・・・あの時・・・彼を渡していればと・・・後悔する日が天使は・・くる・・・よ・・・」
みるみる崩れていくその身体。しかし彼はそれに構うことなく俺たちへと語りかけ続けてくる。
「私たちの行動は・・・慈悲だった・・・それを受け入れて・・・」
「余計なお世話だ」
ご丁寧に忠告してくれているのだろうが、彼の言葉を俺たちは理解しようとはしない。なぜならーーー
「俺たちは何があっても仲間を売ったりはしない」
今までみんながそうしてくれたように、俺たちも絶対に仲間を
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