泥棒
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「ああ? どうした?」
ラビットハウスを飛び出したまずハルトが訪れたのは、見滝原公園。
何かと戦場になることが多いこの場所に無意識に来てしまうことに自己嫌悪しながら、目の前のテントから顔を覗かせた青年は怪訝な顔を浮かべた。
「悪いコウスケ! 怪しい奴見なかったか!?」
「ああ? 怪しい奴?」
コウスケは欠伸をしながら返す。
「朝っぱらから大騒ぎしているお前が一番怪しいんじゃねえの?」
「そういうボケはいらないから!」
「何だよ。折角の休みなんだから、のんびりさせてくれよ」
「テント生活の奴がのんびりって何だよ……? じゃなかった!」
ハルトは咳払いをして、話を続ける。
「盗まれたんだよ! ウィザードの指輪!」
ハルトはそう言って、腰のホルスターを見せつける。
普段は色とりどりの指輪が設置されていたホルスター。だが今は悲しいかな、指輪の位置には空洞しかない。
「お前、管理がなってねえだろ?」
「泥棒に入られたんだよ! 今朝ラビットハウスに来た男に!」
「泥棒? 指輪泥棒……ってことは、そのうちオレのも盗もうとかしたりすんのか?」
「可能性はあるよね」
ハルトは頷いた。
コウスケは面倒そうに頭を掻き、「だあああっ!」と叫んだ。
「だったら、オレの指輪貸してやるよ。今協力できねえんだ」
「何で?」
「オレ今から大学のダチと会う約束があるからなあ」
「俺の指輪の方が大事じゃないの!?」
「いやこっちのプライベートだって大事だろ!」
コウスケはそう叫び、彼の指輪を差し出した。ハヤブサが描かれたオレンジの指輪。
それを掲げながら、
「……俺、この指輪使えるの?」
「オレは一応変身してない状態でも使えんぞ?」
コウスケはそう言いながら、イルカの指輪をベルトに差し込んだ。閉じた扉の形をしたバックル、その端に接続されているソケットが指輪を読み込み、彼の背中に紫の魔法陣を発生させた。
『ドルフィン ゴー』
魔法陣がコウスケの背中に装備させる、紫のマント。彼の脊髄にはさらにイルカの装飾も装備されている。
「簡易的だけど、魔法だって使えるぜ。こんな風にな」
コウスケが足踏みすると同時に、その体は公園の底に沈む。あたかもそこが水面であったかのように水しぶきが舞い、ハルトの背後にコウスケが跳びあがった。
「ふうん……まあ、貸してくれるならありがたく使わせてもらおうかな」
ハルトはそう言って、ハヤブサの指輪を見下ろす。
右手に付けて、そのままバックルにかざした。
すると。
『ビースト プリーズ』
すると、ハルトの背後にオレンジ色の魔法陣が出現する。
それはハルトの肩に触れると、オレンジ色のマ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ