第一章
[2]次話
盲目の少女と出会って
大学生の布袋誠は建設会社の現場でその会社に卒業後就職することを前提でアルバイトをしている。日々大学とバイト先それに自宅を行き来してだ。
充実した日々を送っていたがその中で友人達に言う時があった。
「俺何かしないといけないかな」
「何かって何だよ」
「そう言われても色々あるだろ」
「バイトしてるだけじゃ足りないか?」
「充実してるだろ、毎日」
「学校の勉強もしてな」
それでとだ、布袋は友人達に話した。四角い感じの顔で口はやや家鴨のそれに似ている。目は細く小さめで黒髪を短めにしていて一七二位の均整の取れた体格である。
「趣味のゲームもやってるよ」
「シュミレーションだよな」
「お前そっちやってるよな」
「そうだよな」
「それで充実してるけれどな」
それでもというのだった。
「何かな」
「そう思うんだな」
「何かしないといけないか」
「そうかも知れないってか」
「ああ、具体的にはわからないけれどな」
それでもと言うのだった。
「何かあればな」
「それならか」
「それを見付けたらか」
「それをやるんだな」
「ああ、そうしたいな」
こんなことを言っていた、そんな中で。
布袋は休日に電車に乗って新作のゲームだけでなく漫画やライトノベルも買いに行こうとしたその時にだった。
ホームの席で座っていると横にだった。
杖で前を突きながら歩いて来る黒い髪の毛をおかっぱにした中学三年位の色白で丸い顔の少女が座ってきた。少女は隣にいる布袋に言ってきた。
「あの、電車は何時来ますか?」
「あと三分位だよ」
布袋は自分の携帯と傍にあった時刻表を見てから答えた。
「それで来るよ」
「そうですか、有り難うございます」
「ああ、しかしあんた一人か」
「今は」
少女はこう答えた。
「そうですか」
「目見えないよな」
「今は。ただあと少ししたら角膜を移植してもらうので」
「見える様になるか」
「そうなります」
少女は微笑んで答えた。
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