豪華な朝食
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目覚めは最悪。
ディケイド___門矢士と名乗ったあの青年との出会いの翌日、大あくびをしたハルトは、窓を開けながらそう思った。
あの後士は、ハルトたちの前から姿を消した。探している内にほむら、キャスター、ソロ、リゲルもいなくなり、結局途中解散となったのだ。
「うわ、寒っ……」
窓から入って来た春風に体を震わせながら、ハルトは肩を鳴らし、スマホを手に取る。
「……メッセージか」
通話アプリには、真司からのメッセージが表示されていた。唯一ディケイドと遭遇していない彼に、情報共有のために友奈からの言伝てとアプリによるメッセージで伝えているのだが、その内容が。
『そいつ、本当に仮面ライダーって名乗ってたのか!?』
「どこに反応しているんだよ……」
ハルトはそう言って欠伸をかみ殺す。
「真司も仮面ライダーって名乗ってたけど……何だよ、仮面ライダーって……」
ハルトは体を捻り、自室のドアを開ける。
「あ、ハルトさん……おはよう」
「可奈美ちゃん、おはよう。今日は珍しくねぼ……う?」
廊下での挨拶の途中で、ハルトは言葉を失った。
この時期の可奈美がよくピンク色のパジャマを使用することは知っている。だが今回、瞼を擦りながらやってくる可奈美は、寝相がわるかったのか、パジャマのボタンがほとんど開かれており、彼女の健康的な肌が露わになっている。腰からズボンもまたひざ下まで下ろされており、その白い下着がどうしてもハルトの目を奪っていく。
極めつけに手にしたのが人形だったら可愛かったのだろうが、彼女が引きずっているのはあろうことか日本刀の千鳥。
下手なことを言ってしまえば、どうなるかと考えるとぞっとしながら、ハルトは深呼吸する。
「……すぅ……はあ……」
数回、頭の中で回避運動をシミュレートする。
そして。
「可奈美ちゃん」
「ん?」
「朝からさ、その……朝だからかな。相当無防備な姿になってるよ?」
「むぼうび?」
半開きの口からよだれを垂らしながら、可奈美はハルトの指先を目で追いかける。そして、自らのあられもない姿に驚く。徐々に赤くなっていく可奈美は、自身の身体とハルトを見比べ。
「な、なんでえええええ!?」
千鳥に抱き着いたまま、可奈美は自室へ勢いよく戻った。バタンとドアが大きな音を立てて、やがてドタバタと彼女が転倒する音が連続してきた。
「可奈美ちゃんが寝坊なんて珍しいな」
「お、おはようハルトさん……!」
可奈美は固まった笑顔で、ハルトの前に戻って来た。
慌てるあまり、着替えも済ませていたようだった。朝食前に、見慣れた私服で戻ってきた彼女は、先ほどのことをなかったことにしようとしているようだった。
「さ、さ
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