豪華な朝食
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粗方味わった可奈美は、満足そうに椅子によりかかった。
「美味しかったね。ハルトさんは何が一番美味しかった?」
「え? ……あはは……これかな?」
ハルトは無造作に残っている皿を指差す。「そうだよねえ」と机に突っ伏した可奈美。彼女はそのまま、味わいを楽しんでいるココアとチノも可奈美と同じく骨抜きになっていた。
「みんな、大丈夫?」
「大丈夫〜。お姉さんに任せなさい」
いつも誇らしげに豪語するココアのセリフだが、今回は中身がスカスカに抜けている。
ハルトは自分の皿をまとめ、ついでに真ん中で食べ終わっている皿も回収。全て厨房に持っていった。
「……おかしいな。あんな豪勢な料理、どこから作ったんだろ……?」
未だに残った皿を片付けられるのはいつなのだろうかと考えながら、ハルトは手際よく皿洗いを終わらせる。
食器類を全て食器台に収納し、手を拭いたハルト。
ラビットハウスの備蓄倉庫、その中の食糧事情はハルトも大体把握している。如何せん、食料の仕入れを主に行っているのは、バイクに乗れるハルトなのだ。今回の料理の原材料など、どれ一つとして入荷した覚えはない。
ハルトがグルグルと思考を回転させていくことなど露知らず、三人はゆっくりと食事をしていく。あの量を終わらせると、朝食が昼食になってしまうのではないだろうか。
最後にそんなことを考えながら、ハルトは階段を登り、自室へ戻る。
「さて、今日行くべき場所は……」
ハルトはスマホの地図アプリを起動し、見滝原の全体地図を呼び起こす。
見滝原は、東西南北にそれぞれ大きな特色がある。
ラビットハウスがある木組みの街、それは人々が集まる見滝原西に位置している。
反対方向である見滝原東には、大きなビジネス街が広がっており、見滝原全体の経済の大部分を担っている。
見滝原の観光名所である、見滝原ドームや見滝原タワー、市役所などの中枢施設は見滝原北に集中している。
そして、見滝原南。その、川によって孤立したその場は、かつては工場として栄えていたらしいが、企業が撤退した今は無法者たちが集まる場所となっている。
「また見滝原南に行くか? 蒼井晶説得を一人でやるのも少し難しいよな」
ハルトは着替えながら、スマホ画面の地図を見落とした。
「大道芸での情報収集も最近頭打ちになってきた感はあるしな……」
店主のタカヒロから譲られた上着を着て、机の上に置いてあるウィザードへの指輪が入ったケースへ手を伸ばす。
そして。
ハルトの手が、虚空を泳ぐ。
「……あれ?」
使い魔の一体、バイオレットゴーレムが作り上げた指輪専用の箱がない。
「ゴーレム? ゴーレム、指輪どっかに持って行っちゃったの?」
ハルトは部
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