豪華な朝食
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今から作る……」
だがココアは、すでに目の前に並べられている食卓を見て。
「私またリストラだああああああああ!」
悲鳴とともに項垂れた。
彼女のこのリアクションも、定期的に見るなあと思いながら、ハルトはハムエッグを口に入れる。
「あれ? ココアちゃん?」
「全く……寝坊だなんて、本当に仕方のないココアさんです」
可奈美は、口にスプーンを入れながらココアを見つめている。
ハルトも、おそらく彼女と同じことを考えている。
「やっぱりココアちゃんじゃなかったんだね」
「それじゃあ、この料理、誰が作ってくれたんだろ? マスター?」
「それしか考えられませんけど……でも、特に今日はお祝いする日でもありませんし、ここまでの朝食を振る舞う理由がありません。何より……」
「ラビットハウスに、ここまでの量の料理を作るストックはないはずだよ」
チノの推測に、ハルトも頷いた。
その時、キッチンより別の人物が現れた。
背の高い、男性。
ラビットハウスにおける男性は自分を除けば、今話題に出た店主である香風タカヒロしかいないはずではないか、と思っていると、男性は身に付けたエプロンを畳み始めた。
「皆さん、どうぞ。私からの、ほんの気持ちです。いつも皆さんにはお世話になっていますから、本日は朝食をサービスさせていただきました」
「朝食って……これ、朝食ってレベルじゃないでしょ……」
ハルトは絶句するが、にっこりとほほ笑んだ見知らぬ男性はそれ以外の感想を待つことなくリビングルームから出ていった。
「ああ、ちょっと……!」
「ねえねえハルトさん! これ美味しいよ! これ、食べたことある?」
呼び止めようとしたハルトの袖を、可奈美が引っ張った。
すでに食卓に着いている可奈美は、世界が誇る料理に舌鼓を打っている。ココアとチノも、それぞれ目を輝かせながら、次々と高級料理を口にしていく。
「あ、ああ……そうだね」
「そうだよ! これ、本当に美味しい! 舞衣ちゃんもいつもこういう料理食べているのかな?」
「きっとリゼちゃんも、いつもこういうの一杯食べてるんだよ! ね、チノちゃん!」
「ええ。またこの料理をいただきたいです」
「金持ちの知り合いだからってみんなまさか毎回食べているなんてそんなわけ……」
ハルトはそう言いながら、あまりの味覚に何も考えられなくなっていく同居人たちを眺める。
すでにうっとりとトリップしてしまったチノ。先ほどまでは冷静な方だった彼女も、もはやひたすらに高級料理を口に運ぶ人形と化してしまっていた。
そのままハルトは、これまで味わったことのない?み心地を味わった。
味はしなかった。
「ハルトさん、ハルトさん!」
世界三大珍味を
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