豪華な朝食
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あ早く降りよう今すぐ行こう今日も一日頑張っていこう!」
「すごい早口でまくし立てるじゃん」
「いいのいいの! さあさあさあ!」
可奈美はハルトの背中を押しながら、階段を下りていく可奈美。躓かないように注意しながら、ハルトは一階に降りてきた。
「おはようございます。可奈美さん、ハルトさん」
二人を出迎えたのは、チノの挨拶だった。
こちらへ戸惑ったような表情で振り向いた彼女へ、ハルトと可奈美も挨拶を返す。
「おはよう、チノちゃん」
「ハルトさん……これ、見てください……」
チノはそう言って、机の上へ視線を促す。
ハルトが彼女に促されるように見る前に、可奈美が先に感想を口にした。
「すごい!」
そう。凄い。
全て、可奈美のその一言に集約されていた。
見たことのないような料理が、所せましと並べられている。高級そうなハンバーグ、どこから仕入れてきたのかと言いたくなる魚料理。溢れる新鮮さで光を放っているサラダ。どれもこれも見ているだけで目を覆いたくなるような光景に、ハルトも目を細めた。
「な、何だこれ……?」
「これ……もしかしてっ!?」
可奈美は慌てて二階に戻り、スマホを取り出す。
すぐさま戻って来て、スマホと朝食を見比べる。
「どうしたの可奈美ちゃん」
「これ……やっぱりキャビアじゃない!?」
「ええ。間違いないと思います」
可奈美の発言に、チノが頷いた。
「それにこっちは、フォアグラとトリュフです!」
「すごいっ! 世界三大珍味が揃ってる! それにこれは……!?」
可奈美が、身近な位置に置かれていた皿を持ち上げた。金色の液体に浸されたそれは。
「これ、フカヒレじゃない!?」
「本当ですか!? 私、初めて見ました……」
「何で……?」
この食卓に並べられているものが、自らのバイト代何か月分だろうかと思うと、頭が痛くなった。
だが、可奈美とチノはそんな考慮を放棄していた。目の色を輝かせながら、世界三大珍味に夢中になっている。
「えっと、今日の朝ごはん担当って……」
「ココアさんです」
チノがパクパクと料理を口に運びながら答えた。所謂シイタケ目を浮かべる。
「ココアさん、こんなに素晴らしい朝食を作れるんですね。今日ばかりは、お姉ちゃんって呼んであげましょう」
「普段から呼んであげたら喜ぶんじゃない?」
「それは仕事を覚えてからです」
チノは満足げに頬をほころばせる。
その時、
「寝坊した!」
バタンと音を立てて、彼女は入って来た。
本日の朝食当番。この高級食のオンパレードを作ったと目されていたココアが、血相を変えてリビングルームに入って来た。
「ごめん皆、朝ごはん
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