第二章
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学校の誰からも慕われていた、それで早乙女は鎌倉に一緒に昼食を食べている時に行った。部活は同じ柔道部に入り色々優しく教えてもらってもいる。
「いや、鎌倉さん楽しんでますね」
「学園生活をだな」
「はい、正直最初は驚きましたが」
「言ったな、長い人生ではだ」
「こうしたこともある、ですか」
「そうだ、大怪我をすることもな」
「それで留年することもですね」
鎌倉にうどんを食べつつ応えた。
「あるんですね」
「そうだ、だからな」
それでというのだ。
「俺は受け入れている」
「三度の留年もですね」
「この通りな、それで今年受験だが」
「鎌倉さん成績いいですから」
「うむ、実は弁護士を目指していてな」
「大学は法学部ですか」
「そこに進むつもりだ」
早乙女にカツカレーを食べながら答えた、大盛である。
「受験勉強に励んでいるぞ」
「頑張って下さいね」
「まずは卒業だがな」
「それ洒落になってないですから」
「ははは、そうか」
大柄な顔を破顔させ野太い声で笑って応えた、兎角だった。
鎌倉は三度の留年をものともしない高校生活の楽しみ方を見せていた、そして彼は無事卒業し国立大学の法学部に進み。
何と現役で司法試験に合格し弁護士となった、それである大学に入っていた早乙女に笑顔で言ったのだった。
「二十五歳で司法試験に合格は早い方だな」
「そうですね、それで大学を卒業したら」
二十歳になっている早乙女が応えた。
「それと同時にですね」
「弁護士事務所に入る」
「そうですね」
「どうだ、三回留年してもな」
「長い人生ではですか」
「何てことはない、だからな」
「鎌倉さんは高校でもですか」
「何もだ」
それこそというのだ。
「思っていなかった」
「そうだったんですね」
「人生こんなこともあるとな」
こう早乙女に話した。
「そういうことだ」
「そうですか、それじゃあ」
「うむ、これからはな」
「弁護士としてですね」
「世に奉職していく」
この言葉通り鎌倉は大学を卒業すると早速弁護士となった、若き俊英として知られる彼が高校を三度も留年していると聞いて誰もが驚いた、だが早乙女はもう驚かなかった。長い人生ではそんなこともあると理解したので。他ならぬ彼を見て。
二十一歳の卒業生 完
2023・3・18
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