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崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?
ほんへ
始まりの章-世界は終わった、しかし物語はここから始まる-
約・束・完・遂
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でも壁とガス抜きくらいにはなるだろ?ほら、早く寄越せ。」

やつは引かない。
ここでとれるものはとっていくつもりなのだろう。

さて、今度は俺達が八方塞がりのこの状況。
この状況を打破するのはとても難しいことだが、ここでこの苦境を打ち破るものが現れる。

「おねえちゃん。」

将だ。

「…ごめんね。嘘ついて。悪いお姉ちゃんでごめんね。」

橋本のすぐ近くまで来た鈴鹿御前。
心配そうに見つめる弟を見つめ返すことも出来ず、ただ俯いて謝ることしかできない。
しかし、

「ううん、ちがう。おねえちゃんがうそつきでわるいひとなら、ぼくも……うそつきでわるいひと≠セ。」
「……?」

橋本の腕の中で、ナイフを突きつけられているという状況なのにも関わらず将は話を始めた。

「なんだクソガキ、黙ってろ。」
「ぼく…しってた。おにいちゃんがしんだの…がけからおっこって、ぼくとおねえちゃんまもったのも……!」
「…えっ?」

語られたまさかの真実。
彼は…将はあの日の出来事を知っていたのだ。

「うるさくておきて、こわくてテントのなかからこっそりみてた。そうしたらおにいちゃんがさされてて、そのあと……」
「黙ってろって言うことが聞けないのか!!このクソガキャア!!」
「!!」

構わず話を続ける将に橋本が声を荒らげる。
しかし将は黙らない。大人に怒鳴られれば泣き出す、今までの彼ではない。

「おにいちゃんがやくそくしてたのもみた!ぼくがりっぱなおとなになるまで、みまもっててほしいって!!」
「将…!」
「だからうそついた!もしほんとのことしったら、おねえちゃんがどこかにいっちゃうかもしれないから!ぼく、うそついた!!ひとりになるのはいやだから、しらないふりしてうそついたんだ!!」

真実を知る。受け入れる。
そうしてしまえば自分は精神的に強くなったと言えてしまう。
だから彼は嘘をついた。
鈴鹿御前と一緒にいたいから。この世界で一人ぼっちは、死ぬほど寂しいから。


「でもぼく、つよくなるよ!!」

そう言うと将は大口を開け、

「いってぇ!!」

橋本の腕に全力でかぶりついた。
あまりの痛みに奴は将をふりほどき、強引に解放する。

よし!ナイスだ!

「待てクソガキ!!」
「させるかボケ。」

ナイフを持って将を再び人質に取ろうと追う橋本。
しかし、こうなりゃお前なんざ脅威じゃねぇ。

「そらよ!」

俺は咄嗟にあるものを投げる。
それは回転しながら綺麗なカーブを描き、やつの手の甲に突き刺さった。

「ぐああっ!」

痛みのあまりナイフを落としてしまう。
何事かとやつは手の甲に刺さったそれを引き抜き、その正体に驚愕する。


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