第167話
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こだっけぇ?」
「あ?」
「あれよぉ、ほらAIとか演算ソフトとかー、プログラム関連の電子情報群を集めている観覧保管施設の事よおー。」
「説明しなくても分かる。
確か・・・」
「そうだ、電話番号とアドレス交換しよう?」
「テメェ、三秒前の自分の言葉を思い出せ。」
「どうせ美琴ちゃんとも交換してんでしょー。
こっちも仲間に入れなさいよー。
んでね、私のアドレスはあー。」
つらつらとアルファベットや数字を並べていく美鈴。
最初は携帯を出さずに、頭で覚えているから後で登録すると言ったが、美鈴は目の前で登録しろさもないとこのまま離さないぞ、とあまり洒落にならない事を言い出したので、諦めて登録する。
かくして美琴が汗と涙の機種変大作戦によって得た成果を、この母親はものの三分でゲットしてしまった。
「はいはーい。
君の番号は『友達』のカテゴリに登録しとくからねぇ。」
「本当に疲れた。
制理もどっかに行ったしな。」
大きくため息を吐いて、いつまでくっついている美鈴を強引に引き剥がす。
「何で美鈴さんがここにいるんだ?
許可なく学園都市に入ってくる事はできないはずだぞ。」
「へいへーい。
美鈴さんは大学生であるからして、レポートを提出しないと駄目なのです。
だけどそのための資料が学園都市にしかねーとかいう話だから、わざわざここへやってくるしかなかったのですー。」
「まぁ、俺にはどうでも良いけど。
さっさとその断崖大学へ行って来い。」
麻生は呆れるように言いながら、こっそりと逃げようとする運転手を睨んで逃がさないようにする。
「ついでに美琴ちゃんの顔でも見てやろうかと思ったのによー、なーんか常盤台中学の女子寮はチェックが厳しいから駄目だってさ。
親なめんなよー。」
「酔っぱらいを治してから出直せ。
ほら、タクシーに乗り込め。
あんたも手伝え。」
バタバタと暴れる美鈴を運転手と麻生の二人で無理矢理、後部座席に押し込む。
「ちょっと、こら!
話はまだ終わってねっすよーっ!!」
「続きはまた今度だ。
ちゃんとアルコールを抜いた状態でだけど。」
「ちくしょう、子供にあしらわれた―っ!!」
ぐだぐだの美鈴だが、麻生がしっしっ、と手で払うとタクシー運転手は『ホントにこいつ金払うんだろな』という顔でしぶしぶ車を発進させた。
ぶーんと遠ざかっていく排気音を聞きながら、麻生は疲れたような息を吐く。
「さて、ともかくマンションに戻るか。」
今の時間だと、スーパーも閉まっている。
余っている材料とかあるだろうか、制理はなぜ怒ったのか、を考えながらマンションに向かって帰るのだった。
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