第167話
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ながら麻生に聞く。
「あれってどういう意味?
そんな大層な言葉で言われるようなことした?」
「ああ、それはな」
珍しく麻生が答えようとした時だった。
「だから、ドアを勝手に開けたら車を出せないでしょう?」
「なんだとこらー、それは全日本半ドア連合に対する挑戦かちくしょうー。」
「はいはい。
そのナントカ連合のメンバーはあなた一人しかいないんですよね。
聞き飽きましたからさっさと座席に戻ってください。」
「何をー。
そう言われた以上は意地でも戻れねーなー、へっへっー。」
行き先の道にタクシーが停まっていた。
ちかちかと黄色いウィンカーが瞬いていて、後部ドアは開きっ放しで、何故かそこから大学生ぐらいの女性が上半身だけ、でろっとはみ出ている。
ぐべちゃー、と路面に突っ伏した女性は、運転手らしき中年男性と口論になっていた。
結構大きな声だったので、運転手と女性客の全く噛み合わない会話は二人に届いている。
何故か、女性の声に聞き覚えがあった麻生だが幻聴だろうと割り切る。
「何あれ?
運転手に迷惑よね。」
「その通りだな。
道を変えるか?」
何となく嫌な予感がした麻生は、そう提案する。
あの女性は会話を楽しんでいるのではなく、とにかく構ってもらうのが楽しい人間だ。
あんなのに絡まれれば、それこそ朝になって酔いが覚めるまで延々とトラブルに巻き込まれ続けるに決まっている。
それも聞き覚えのある声だったら尚更だ。
目をつけられる前に、さっさと退散するに限る。
「別に私は構わ」
と、制理が同意しようとした時だった。
「んー?」
酔っぱらいの首がにょとっとこっちを向いた。
相変わらず下半身はタクシーの中に、上半身は地面にへばりついたままだ。
眼が合った、と麻生は直感した。
「あーあーあーっ!
アンタは確か麻生くんだ麻生くん!!」
「何で俺の名前を知っているんだよ。」
疑問に思って酔っぱらいを見て見ると、それは大覇星祭の時に出会った女性、御坂美鈴だった。
あのビリビリ中学生、美琴の母親である。
「何で、あいつの母親が此処にいるんだよ。」
「ちきゅーの重力って偉大よね。」
「人の話を完全に無視ですかそうですか。」
「なんつーか、美鈴さんはもーう何もいりまっせーん。
このまま寝ますおやすみーむぎゃ。」
「会話のキャッチボールすら成立していないな。」
疲れたようなため息を吐きながらそう言う。
本当に寝たかのような寝息が聞こえたので、このまま無視して帰ろうと思った。
が、パチッといきなり美鈴の両目が開いた。
「あっ、いけね。
ストレッチしてないし乳液も塗っていないじゃん!
ち
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