暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンラインーツインズー
SAO編−白百合の刃−
SAO27-白黒ヒーロー
[13/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ユイちゃんは眉を寄せ、何かを思い出すように苦しみ、顔をしかめては俯き、声が漏れるように言った。

「……あたし……あたし、ここには……いなかった……。ずっと、ひとりで、くらいところにいた……」

 その刹那。

「うあ……あ……あああああ!!」

 顔を上げて、細い喉から高いノイズのような悲鳴を上げた。
 ザザッと聞きなれないノイズが耳に響き、硬直した体のあちこちが崩壊するように激しく振動した。
 思わぬところで急激に苦しみだすユイちゃん。あまりにも突然で、あまりにも現実味がなく理解が追いつかない。対処する方法が思いつかない時だった。
 柔らかい風が吹き、音となり響きかせた。
 それはまさしく空気をガラッと変わる温かさ。

「声……?」
「ドウセツ、スズナが!」

 一瞬空気をガラッと変える暖気の正体は、スズナだった。
 私の腕に抱かれながら、目を閉じながら幼い子供とは思えない高い音色で歌っている。

「ああああ……ああ……あ…………」

 スズナが歌う曲は知らなかったが、どこか懐かしくて温かい、まるで子守唄のようだった。その歌声は柔らかい風のように吹き響きかせ、聴く人達に心を満たしていた。

「あ……ね…………ち……」

 ユイちゃんも悲鳴が徐々に消えて、安心したように安らぎ、スヤスヤと眠りについた。
 ユイちゃんが健やかに眠ると同時にスズナの歌声もピタリと止まり、まぶたを開けて起き始めた。

「スズナ……今のは」
「……わからない。でも、ユイが苦しんでいたから……」

 スズナはいつもと同様に表情は淡々としている。そして顔を見上げてドウセツに話しかけた。

「お母様……『旧ユニークスキル』持っているんだね……カッコイイ、お母様」
「なに?」
「旧ユニーク、スキル……え、きゅ、旧!?」

『旧ユニークスキル』
 私達の知らない言葉を前から知っているかのように、スズナの口からスラスラと言葉にしていた。
 今日、ドウセツがスキルを使ったのは『ユニークスキル』とも呼ばれる『居合い』だけだ。
 ドウセツしか持っていない『居合い』スキル。SAOではヒースクリフに続いて二番目に公表された唯一無二の固有スキル保持者だけあって、ドウセツの『居合い』スキルも『ユニークスキル』と称することになった。
 でも実際は『ユニークスキル』というカテゴリではなく、『旧ユニークスキル』というものなのか?
 どうしてスズナがその言葉を口にした? なんでドウセツの『居合い』スキルが『旧ユニークスキル』なの? そもそも『旧ユニークスキル』ってなに?

「あぅ……おやすみな……」

 言い終わらないうちにスズナも眠りについた。

「どう言うことかしら……」

 スズナとユイちゃんの両親を探しにや
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ