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SAO編−白百合の刃−
SAO27-白黒ヒーロー
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にした。

「す、すげぇ……」
「えっ?」
「すげぇよ姉ちゃん! 初めて見たよ、あんなの!」

 少年の発する言葉に続いて、ミナと言う少女はドウセツを見つめて発した。

「お姉さんありがとう……綺麗でかっこよかった……」
「そ、そう……」

 慣れない言葉を受けたドウセツは戸惑い、私達双子に助けを求める視線を送った。

「このお姉ちゃん達はな、無茶苦茶強いんだぞ」

 ユイちゃんを抱いたまま、兄はニヤニヤ笑いながら赤毛の少年の髪をワシャワシャとかき撫でた。

「どうやら怯えてないようだよ、アスナ」
「キリカちゃん……」
「だからさ、沈んだ表情しないで……笑ったらどうかな?」
「え、う……うん」

 アスナは唾を飲み込んでから、

「え、えへへ」

 困ったように笑うと、「ワーッ」と子供達は歓声を上げて一斉に近寄っては飛びついて来た。

「サーシャさん泣かないで喜んでください」
「ありがとうございます……本当に、ありがとうございます……っ」

 サーシャさんはイチさんに宥めながら両目に涙を溜めて泣いていた。そして笑った。

「ありがとうございます。本来ならわたしが助けるべきなのに……なにもできませんでした」
「いいよいいよ、私も今回は何もできなかったし、助けようとした気持ちはあったのはわかるからお礼はいらない。お礼を言うならドウセツに言ったら?」
「だったら今すぐ助けてくれない?」

 少年少女に抱きつけられているドウセツは、対応がよくわかっていないのか、オロオロしていた。その戸惑い具合は、氷の悪魔とは程遠くて、可愛らしいと思った。

「クスッ……ドウセツさんって、いつもクールで怖い方だと思っていましたが、そんな表情するんですね」
「笑ってないで助けなさいよ」
「すみません。子供達はドウセツさんに懐いているので頑張ってください」
「そうそう。今回のヒーローはドウセツなんだから、ドウセツがなんとかしなさい」

 私とイチは笑みを浮かべ、ドウセツを見守った。
 温かい空気が広がっている時、ヒヤッとするような冷たさと鈴の音が響いた。

「みんなの……」
「ユイ、どうした?」
「みんなの、みんなの……こころが……こころ……が……」

 一瞬空気をガラッと変える冷気の正体を探ってみると、それはユイちゃんだった。いつの間にか目を覚ましたユイちゃんは、兄に抱かれたまま空に視線を向け、右手いっぱいに伸ばしている。

「空?」

 私はその方向に視線を移したが何もない青くすんだ空だった。
 するとユイちゃんはニ、三度瞬きして、キョトンとした表情を浮かべる。

「ユイちゃん……何か、思い出したの?」

 慌ててアスナは寄ってユイちゃんの手をギュッと握る。
 
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