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SAO編−白百合の刃−
SAO27-白黒ヒーロー
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くなってきた中、ドウセツは混乱している彼女に透き通るような声で話しかけた。

「……落ち着きなさいよ、“イチ”」

 ドウセツは槍を構えた少女の名前を呼んだ。そしてその名前に私は聞き覚えがあった。

「イチ?」
「貴女は知っているでしょ」
「いや、イチって……あの“イチ”?」
「わからないの? わからないのね」

 ドウセツの人を試すような煽る反応。私が思いつく“イチ”というプレイヤーは一人しか思いつかない。それが合っているなら、彼女が混乱しているのも理由がつくし、なによりも私達のことを知っている。

「イチ、深呼吸して!」
「ひゃ、ひゃい! って、キリカさんどうして!? あ、キリトさんまでいる!?」
「いいから深呼吸して落ち着きなさい!」
「は、はいいぃ!」

 無理矢理でもいいからイチを落ちつかせるために、勢いで指示を出した。
 間違いない。私が思い当たる“イチ”と一致した。混乱しながらも私と兄の名前を知っているし、何よりも動揺した時の噛みすぎる個性を持つプレイヤーはどこ探しても一人しかいない。そしてそんな彼女を知っているなら、攻略組の私達は誰もが知っている。

「大丈夫ですか、イチさん」
「あ、はい。すみません、アスナさん……」

 無理矢理深呼吸したイチは落ち着きを取り戻し、アスナと普通に話しかけられるようになった。
 私としたことが、攻略組の一人が第一層『始まりの街』にある協会にいると微塵にも思わなかった。だからすぐイチだと判別することができなかった。
 私達と同じ攻略組の一人であり、『ソロ十六士』と呼ばれるソロプレイヤーの中でも強い十六人の一人、そして私とドウセツ達と共に裏五十五層のボーナスゲームに参加した『鋼の騎士』である。そして九月の頭くらいから、癖のあるソロプレイヤーと『ソロ十六士』の何名かで、少数ギルド『怒涛の快進撃』を設立。僅か数ヶ月のうちに血聖騎士団や聖竜連合に並ぶ強力ギルドの仲間入りを果たしている。
 おとなしい性格で動揺すると噛みまくるが、片手槍と盾を使用していて防御に特化しており、防御力だけならヒースクリフに続く鉄壁を持っている。
 トータル的に考えれば、ヒースクリフに並ぶくらいの有名人になってもおかしくはないわね。何気に癖のあるソロプレイヤーをまとめるカリスマ性もあるし、かなり頼れる実力と鉄壁もある。そんな彼女がなんでここにいるのだろう。

「あ、えっと……皆さんはどうしてここに?」
「それはこっちの台詞でもあるんだけど……人探しってところかな」
「人探しですか?」
「うん。アスナと」
「!?」

 私はイチに説明する前にイチは目を見開き始めた。

「え、あ、けっきょ、きょ、けこ、けっこしちゃんちゃでしゅか! おめひゃうめごちゃいまちゅ!もう、おちゃま
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