第四章
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「仇名がな」
「マイクだったの」
「ああ」
「そうした理由があったのね」
「最初何だって思うだろ」
「ええ、何でマイクなのかって」
千佳もそれはと答えた。
「日本人なのに」
「実は伊良部さんだってお父さんアメリカ人だったしな」
寿は千佳にこのことも話した。
「実は」
「ああ、そうなのよね」
千佳もそれはと応えた。
「あの人は」
「千佳も知ってるな」
「色々ね、悲しいことになったわね」
千佳は伊良部秀樹と言う人の人生を振り返って言った。
「本当に」
「そうだよな」
寿も今はしんみりとして述べた。
「あの人は」
「ええ、けれどなのね」
「あの人もな」
「ハーフだったのね」
「案外グラウンドの名前だけでな」
「わからなかったりするのね」
「本名とは限らないしな」
グラウンドの名前はというのだ。
「特に助っ人の人はな」
「そうそう、本名はね」
「違ったりするからな」
「それでよね」
「仇名だってな」
「そこからわからないこともあるのね」
「そうなんだ」
こう妹に話した。
「僕も暫くな」
「グラウンドの名前、グラウンドネームね」
「それが本名だと思ってたし」
その選手のというのだ。
「いや、本名は違う場合もあるって知って」
「お兄ちゃんも驚いたのね」
「千佳もだよな」
「ええ」
それはとだ、千佳も答えた。
「本当にね」
「グラウンドネームが本名とは限らないって」
「そうね、しかしね」
「しかし?」
「いや、阪神の選手って仇名多いわね」
「カープも多いだろ」
「それはそうだけれど」
それでもとだ、千佳は答えた。
「阪神には負けるでしょ」
「そうかな」
「伊代の古狸もあったわね」
「藤本監督か」
これまただ、寿は即答であった。
「藤本定義さんな」
「あの人はお年寄りで」
「当時としてはな」
それで老将と呼ばれていた。
「愛媛県の生まれで」
「四国の」
「愛媛って昔は伊代っていったから」
江戸時代までの国名である。
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