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タブーの壁
第二章

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「仕事に私情を挟んではならない」
「どんな仕事でもだね」
「そして特にです」
「法律に携わっているとね」
「行ってはいけませんが」
「それは法律にはないけれどね」
「もう絶対のです」
 それこそというのだ。
「タブーです」
「そうだね、彼女は昔からね」 
 譜久島という人物はというのだ。
「自分の個人的なつてをね」
「使ってですね」
「そうしてね」
「お仕事をしていますか」
「そうなんだ」
 これがというのだ。
「そうした人物だから」
「今回もですか」
「かってですね」
 テロの実行犯の弁護をというのだ。
「そしてね」
「私情を入れてもですね」
「やっていくんだ」
「そうですか」
「うん、ああしたことはね」
「したら駄目ですね」
「法律にないことでも」
「私もです」 
 法律に厳しくとも、というのだ。
「絶対にです」
「しないです」
「そう、それはね」
「タブーですよね」
「絶対のね」
 まさにというのだ。
「それだよ」
「まさにですね」
「タブーはね」
「法律になくても」
 それでもというのだ。
「駄目なことはね」
「ありますね」
「不文律いやこの場合はモラルだね」
「職業倫理ですね」
「弁護士、法律に携わるならだよ」
「私情を持ち込んではいけないですね」
「そうだよ、ましてやね」
 深田は聖子にさらに話した。
「テロの実行犯との友人関係もだよ」
「隠していませんか」
「事実友達だからとね」
 その関係をというのだ。
「公言してね」
「弁護を自ら申し出て」
「やっているからね」
「私情ばかりですね」
「個人的関係とね、あれではね」
「弁護士としてですね」
「絶対のだよ」 
 こう言っていいまでのというのだ。
「タブーを破っているよ」
「全くですね」
「いや、あれでね」 
 深田は難しい顔になってだ、聖子にこうも言った。
「東大法学部を首席で出てね」
「すぐに司法試験にも合格して」
「弁護士になったんだよ」
「そうした人ですね」
「それでもだよ」
 そうした経歴の持ち主だがというのだ。
「ああしてね」
「職業倫理というタブーの壁をですね」
「わかっていないんだからね」
「信じられないですね」
「全くだよ、学校の成績だけでは」
 深田は難しい顔のまま話した。
「中々ね」
「わからないですか」
「そうなのかもね」 
 こんなことを言うのだった、そして譜久島のこの弁護はテロの実行犯の裁判ということで世間から注目されたが。
 最初からだ、譜久島のこの職業倫理を無視した弁護することになった経緯が非常に大きな問題となった。
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