六十九 形勢逆転
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その苦々しい思いを噛み殺して、森の後始末をしている最中である。
地中深く埋めた飛段を助ける際、フードの存在が森の一部を焦土と化したからだ。奇跡的に森に棲まう鹿は一匹たりとも死んではいない。
むしろ、奈良一族にしか心を開かないはずの鹿達が警戒心を抱かずに焦土と化した森の一部へ足を運ぶ奇妙な光景が広がっている。
普通は警戒して近づかない場所なのに、まるで誰かがいた名残を惜しむかのような鹿の行動には、奈良一族全員が首を傾げていた。
とにかくも、飛段を生き埋めにした戦闘の痕跡をいつまでも森に残しておくのも忍びない。
そこで現在、奈良一族総出で後始末をしている真っ最中なのだ。
そんな時にシカクに呼ばれたシカマルは、父に促され、掘り返された地面を見下ろす。
そうして、顔色を変えた。
「じゃあこの奴さんは…」
飛段を埋めていた地面だけでなく、どうせなら周囲の土も掘り返そうとした結果、見つけたソレに絶句する。
険しい表情を浮かべるシカクの視線の先を追って見つけた───見つけてしまった。
思いもかけないソレに、シカマルは言葉を失う。
困惑する息子に代わり、シカクが冷静に、当然の疑問を言葉に紡いだ。
「───どこの仏さんだ?」
ソレは、死体だった。
飛段でもなく『暁』の誰かでもない。
その証を抱いて、物言わぬソレは地中に横たわっていた。
額にかけられていたのだろう。
すっかり汚れて錆びた木ノ葉マークの額当てが、むなしく死者の身体に纏わりついている。
粉うことなき───木ノ葉の忍びの遺体だった。
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