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渦巻く滄海 紅き空 【下】
六十九 形勢逆転
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ンの視線の先で、大柄な身を軽やかに翻す。
蛙の舌で勢いよく引き寄せたペイン目掛けて、白髪の男はチャクラを圧縮した玉を放った。



「───【螺旋丸】!!」









撃ち込まれる。
腹にクリーンヒットしたペインの顔が歪んだ。

力を振り絞って逃れようとするも「させないわよ」と大蛇丸が指先をピッ、とペインへ向ける。
途端、袖口から放たれた蛇が逃がさんとばかりにペインの身体を縛り付けた。

【潜影蛇手】の蛇で身動きできないペインの身体目掛け、【螺旋丸】が炸裂する。
吹き飛ばされ、再起不能となったペインを見届けた存在は、巨大な大蛇の上で下駄を打ち鳴らした。


「「自来也…ッ!?」」


吹き飛ばされた同胞よりも先に、戦場に復帰したかつての師の名を、残りのペインが驚愕と共に呼ぶ。


完全復活した自来也。
白髪をたなびかせる自来也の背後で、蛇の口の中に潜んでいた蛙が白煙と化す。


「呑み込ませないように苦労したわ〜」と軽口を叩いた大蛇丸に、自来也は「わしはいつ喰われるかヒヤヒヤしたぞ…」とげんなりした顔つきで、大蛇の頭上に佇む大蛇丸を振り仰いだ。

不意打ちでペイン一体を蛇に喰わせた後、大蛇丸は【万蛇羅の陣】を発動させた。その蛇の荒波に流されたのは、ペインだけではない。


大蛇丸の本当の目的はふたつ、あった。


ひとつは、蛇の群れに紛れ込ませ、満身創痍である自来也を医療忍術に長けた者のもとへ秘かに送り届けること。
即ち、この戦場付近で気絶したサスケの傍にいる人物───アマルに自来也を治療させることが大蛇丸の狙いだった。

アマルは元部下とは言え、大蛇丸に忠誠を誓っているわけではない。
甘言で無理やり綱手の弟子であったアマルを此方側へ引き摺り込んだだけだ。

けれど暫しカブトの助手をしていたアマルを傍で観察していた大蛇丸には彼女の性格が手に取るようにわかる。
負傷を負ったサスケを蹴り飛ばしたペインの味方を、医者の端くれだと名乗るアマルがするはずもない。
なし崩しにサスケと共に『暁』へ入らざるを得なくなった彼女に、ペインへの思い入れなどなく、むしろ今は憤りだけを感じているだろう。

綱手から離れたとは言え、彼女の医者としての誇りを十分理解している大蛇丸は、だからこそ自来也を治せるのはこの場においてはアマルしかいないと思っていた。
息も絶え絶えの患者をいきなり目の前に放り出されては、医者としては治すしかあるまい。
更には見覚えのある相手だ。

かつて綱手を捜索する旅に訪れた波風ナルと友達になったアマルは当然、自来也とも面識がある。
今すぐに治療しないといけない相手、しかも面識ある存在を治さないという選択はアマルには無かった。


案の
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