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渦巻く滄海 紅き空 【下】
六十九 形勢逆転
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返されるとは予想外で、反応が遅れる。
牙をむいたまま、いきなり弾き返された蛇達はそのまま勢いよく、主である大蛇丸に噛みつこうとした。
が、すぐさま【口寄せの術】を解いた大蛇丸によって事無きを得る。



「ま、そうよね。そう易々と屠らせてはくれないわよね、神様とやらなんだから…」


【神羅天征】で空中からの蛇の攻撃を届く前に弾いたペインのひとり。
彼の機転で他のペイン達も無事に、今や湖と化している地上に降り立っている。

雨隠れの里で神と呼ばれる男達を、高い蛇の頭上から見下ろして、大蛇丸は軽く肩を竦め。
「でも安心してちょうだい」といっそ穏やかに微笑んだ。


「───神狩りの時間はまだ始まったばかりよ…!」


直後、蛇が突撃する。
大蛇丸の乗った蛇の猛攻を避ける為、三人のペインは大地という名の水面を蹴った。

今や湖と化している戦場が高い水飛沫を撒き散らす。廃墟のあちこちでで湧く水柱に、巨大な蛇の鱗が美しく映った。
再び蛇の尾の上を足場にして大蛇丸へ接近戦を仕掛けるペイン達。
意識を失ったらしく、ぐったりしている様子の自来也を視界の端に捉え、ひとりが無表情のまま、大蛇丸を煽った。


「お荷物を抱えたまま我ら神に勝てるとでも思っているのか」
「…やれやれ。仮にも師匠でしょうに。随分と薄情なお弟子さんだこと」


かつて弟子だったにもかかわらず自来也を荷物呼ばわりするペインに、大蛇丸は苦笑を返す。
そうして、やにわに印を結ぼうとした。
いや、術を解こうとしているかのような大蛇丸の指の先を、ペインは先読みする。

再び足場を失わせるつもりか。

【口寄せの術】を解除して蛇を消し、足場を失わせようとしているのだろう、とすぐさま着地できるように三人は身構えた。体勢を整える。


「芸がないな。同じ手を二度も喰らうわけあるまい」
「でしょうね」


ペインの言葉に被せるように大蛇丸は嗤った。
てっきり先ほどと同じように蛇の口寄せの術を解除すると身構えていたペイン達は拍子抜けする。

大蛇丸が乗る大蛇の口がカッ、と大きく開いた。
そこから覗き見えるのは、鋭い牙…ではない。


「使うわけないじゃない」


瞬間、蛇の口から伸びる蛇ではない何かの舌が、ペインひとりを捕らえた。
伸縮性のある舌先が、ペイン一体の身体を絡めとる。
そのまま引き寄せられたペインは、蛇の口の中に潜む別の動物と眼が合った。


「蛇の中に蛙だ、と…!?」


巨大な大蛇の口の中。
其処に隠れ潜んでいた蛙の舌が伸縮自在にペインを引き寄せる。

かと思いきや、蛙の中に更に潜んでいた存在が、外へ躍り出た。
その姿に、ペイン全員の眼が驚きに見張る。

残った三体のペイ
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