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エチルアルコールの科学的役割
第三章

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「その間ね」
「ずっと飲んでいるな」
「ええ、毎晩というか」
「いつもか」
「朝から飲むわね」
「ここはロシアだ」
 プシャーチンはあっさりとした口調で飲みながら答えた。
「だったらな」
「飲んでもいいのね」
「朝からそしてな」
「お仕事の時も」
「そうしても許される」
「寒いからよね」
「寒くなくてもな」
 例えそうであってもというのだ。
「飲んでいるしな」
「好きなのね、要するに」
「そこでそう言うか?」
「ええ、言うわ」
 ワインを飲み続ける夫に話した。
「実際に今も飲んでるでしょ」
「仕事が終わってサウナも入ってな」
「それも毎晩みたいにね」
「これなくしてな」
 プシャーチンも否定せずに答えた。
「何の人生か」
「その言葉自体がよ」
「証拠か」
「貴方が酒好きってことのね」
 まさにというのだ。
「証拠よ」
「そうか、まあ好きかというとな」
「否定出来ないでしょ」
「大好きだ、奥さんの次にだ」
「私よりもじゃないの?」
「何言っている、三十年ずっと一緒にいるんだぞ」
 干し肉を噛みつつ言った。
「それならな」
「お酒よりもなの」
「そうだ、その太った身体を見るとな」
 歳を取ったロシア女性特有のそれを見て言うのだった。
「それだけで安心出来る」
「若い時は痩せてたとか言わないのね」
「ロシアでそんなこと言うか」
 女性は太っている方が頼もしいと認識されいいとされる国ではというのだ、寒いので太らないと凌げないという現実もある。
「だからな」
「そうは言わないのね」
「そうだ、それでな」
「お酒はなのね」
「奥さんの次にな」
 またワインを飲んでから話した。
「愛しているぞ、好きだ」
「そうなのね」
「何だかんだ言ってもな」
「理由はどうあれ」
「どうして飲むかというとな」
 根本的な理由はというのだ。
「そうなるな」
「やっぱりそうね」
「そうだな、じゃあワインの後は」
 それからもというのだ。
「ブランデーをいただくぞ」
「今更だけれど飲み過ぎには注意してね」
「それで飲むのを控える筈がないだろう」
 こう言ってまただった。
 プシャーチンは飲んだ、そうして楽しむのだった。それで酔いが回るとこんなことも言ったのだった。
「科学がどうかよりもな」
「楽しく飲めればいいのね」
「ああ、結局はな」 
 ワインの後はブランデーを飲みながら言った、赤ら顔でそう言ってさらに飲んで楽しむのであった。


エチルアルコールの科学的役割   完


                    2023・1・15
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