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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第83話:退院
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んの家で預かってもらっている。

「うん。でも無理はしなくていいよ。ヴィヴィオならアイナさんが
 ちょくちょく連れてきてくれてるから」

「そっか。じゃあ、またな」

俺はそう言って椅子から腰を上げて、病室を後にしようとしたが、
袖を引かれる感じがして立ち止まる。
振り返って見ると、ちょっと不機嫌な表情のなのはが俺の制服の袖を
掴んでいた。

「どうかしたのか?」

「忘れ物だよ」

なのははそう言うと、俺のネクタイを引っ張って自分の方に引き寄せる。
そのまま俺たちは軽く唇を合わせた。

「ごちそうさま」

俺がそう言うと、なのはは声を上げて笑う。

「ふふっ・・・じゃあ、おそまつさま・・・かな?」



なのはの病室を出た俺は足早に病院の通路を歩く。
階段を駆け下りて正面玄関に向かうと、シンクレアの車が見えた。
助手席の扉を開けて乗り込むと、シンクレアの方から声をかけてきた。

「遅いですよ。何分待たすんですか」

そう言いながらシンクレアは車を発進させる。

「悪い悪い。ちょっと話しこんじゃって」

「・・・口紅。ついてますよ」

そう言ってシンクレアはニヤリと笑う。

「んなわけないだろ。入院中なんだから化粧なんかしてないよ」

「ということはキスはしたと」

「・・・ノーコメント」

車はクラナガンの都市高速を抜け、壊滅した6課の隊舎があった
湾岸地区に向かって走る。

「そういえば、ゲイズ中将の件では活躍したらしいな」

俺がそう声をかけると、シンクレアはハンドルを握っていた手で頭をかく。

「いや・・・俺は念のためのつもりだったんですけどね。
 まさか大当たりを引くとは思いませんでした」

「謙遜するなよ。そういうのの積み重ねがああいう仕事は重要なんだから。
 胸張っていい成果だと思うぞ」

「ありがとうございます。ゲオルグさんにそう言ってもらえたのが
 一番うれしいですよ」

そう言ったシンクレアの横顔は心なしか頬がゆるんでいた。

「しかし、次の人事で昇任は間違いなしか・・・階級で並ばれちまうんだな」

「何言ってるんですか。ゲオルグさんだってたぶん昇任しますよ。
 はやてさんが”ゲオルグくんは絶対昇任させる!”って息まいてましたから」

「余計なことを・・・」

やがて、左側に海が広がってくると遠くに次元航行艦アースラの
巨体が見えてきた。
シンクレアは車をアースラのメインハッチから伸びるスロープの前に
停止させる。
俺はシンクレアの車から降りると、海岸線に横づけされたアースラの巨体を
見上げて嘆息した。

「話には聞いてたけど、何て言うか・・・非常識な光景だな」

「そうですか?
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