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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第82話:急転直下
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はやてがそう言ってフェイトに話を振る。
フェイトは小さく頷くと俺の顔を見た。

「スカリエッティのアジトで7年前の事件の被害者が
 生体ポッドに入れられた状態で発見されたんだ。
 生きた状態で発見されたのは、クイント・ナカジマ,メガーヌ・アルピーノ,
 エリーゼ・シュミットの3名。いずれも意識不明だけど
 近いうちに意識を取り戻すだろうって」

俺は一瞬、フェイトが何を言っているのか理解できなかった。
少しずつその意味が脳に染み渡っていく。

「・・・え?姉ちゃんが・・・生きてる・・・のか?」

自分でも驚くほど声が震えていた。

「そうだよ。よかったね、ゲオルグ」

フェイトがそう言って俺に向かって微笑みかける。
そのフェイトの顔がまた涙で滲んでくる。

「くそっ・・・なんか俺、今日泣いてばっかりじゃねえか」

「ええやん。嬉しいことがあったんやから。おめでとう」

はやてが微笑みながら俺の肩を叩く。

「ゴメン、俺ちょっと・・・」

「うん。ええよ。私らはここで待ってるから」

はやての返事を聞いて俺は立ち上がって、屋上から降りる階段へと向かった。
階段を下りて一番近くのトイレに向かうと、個室に入って鍵を閉めた。
それから、30分ほど俺はさめざめと泣いた。



ようやく気分が落ち着いたところで、個室を出る。
トイレを出る前に洗面台の鏡で自分の顔を見ると、目が真っ赤だった。
しょうがないとあきらめ2人の待つ屋上へと向かう。

「おっ、戻ってきた。おかえり、ゲオルグくん」

「悪いな、2人とも忙しいだろうに」

「かまへんって。ま、もう話すことはないんやけどな」

「ところでクイント・ナカジマさんって、ひょっとして・・・」

「うん。ナカジマ3佐の奥さんだよ」

「やっぱりそうか、もう一人のメガーヌ・アルピーノさんってのは・・・?」

「今回エリオやキャロと戦った召喚師の女の子がおったやろ?
 あの子、ルーテシア・アルピーノっていうんよ。
 つまり、メガーヌさんはルーテシアのお母さんやね」

「そっか・・・。でも、あの子は・・・」

「そうやねん。公共施設破壊やら危険魔法使用やら
 ゲオルグくんへの殺人未遂やら罪状が一杯あるんよ・・・」

「え?俺を刺したのってあの子なのか?」

「正確にはあの子の召喚虫やね。ただ、あの子もスカリエッティから催眠を
 かけられてたみたいやから、刑はかなり酌量されると思うで」
 
「そっか。早くお母さんと一緒に暮らせるようになるといいな」

「そうやね。さてと、私らはそろそろ帰るわ」

はやてはベンチから立ち上がる。

「ゲオルグくんも早く復帰してや。仕事が多くてかなわんわ」
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