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ドリトル先生とタキタロウ
第十幕その九
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「これがね」
「昔はニホンオオカミがいて」
「山の生きものを食べて」
「生態系を維持していたんだったね」
「そうだったのよね」
「そうだよ、だから増え過ぎることはなくて」 
 それでというのです。
「畑も荒らされることが少なかったんだ」
「だから日本では狼は有り難い存在だったんだよね」
 ジップが言いました。
「畑を荒らす生きものを食べるから」
「『おおかみ』は『大神』だったね」
 トートーは日本語の呼び方からお話しました。
「偉大な神様、有り難いってことだね」
「日本はあらゆる生きものが神様になる国にしても」
 老馬はしみじみと思いました。
「その中でも狼はかなりだったんだね」
「農業の国だからね、日本は」
 そこから言うホワイティでした。
「だから畑を荒らす生きものを食べてくれると有り難いね」
「欧州では牧畜をしていてね」
「家畜の羊や山羊を襲う狼は脅威だったけれど」
 チープサイドの家族は自分達が住んでいた地域のお話をしました。
「日本じゃ牧畜しなかったからね」
「牛や馬は農業や乗るのに使ったしね」
「狼は実は人を襲わないのよね」
 ポリネシアはこのことをお話しました。
「だから犬にもなったし」
「それじゃあ日本で怖がられる筈がないよ」
「そうだね」
 オシツオサレツは二つの頭で言いました。
「だから欧州の童話みたいに悪役で出ないね」
「そんなお話殆どいないね」
「日本の童話の悪役って鬼ね」
 ガブガブは日本のことを指摘しました。
「生きものだと狐や狸だけれど悪戯しかしないわ」
「その悪戯も些細なことでね」
 チーチーは童話の狐や狸のそれのお話をしました。
「全然怖くないね」
「むしろ愛嬌があるよね」
 ダブダブはチーチーに続きました。
「憎めないよ」
「そうだね、日本人は狼はかえって有り難いと思っていたんだ」
 先生もそうだと言います。
「そしてその狼がいなくなって」
「獣害も増えた」
「そうなったから」
「生態系も守らないとね」
「しっかりと」
「これからニホンオオカミは保護されてね」
 そうしてというのです。
「数を増やして徐々にでもね」
「日本全土に広まってもらう」
「もう一度」
「そうなってもらうんだね」
「そうだよ、あと北海道にも狼がいたね」 
 この地域にもというのです。
「そうだったね」
「エゾオオカミだね」
「北海道の狼だね」
「キタキツネやエゾタヌキやエゾシカと同じで」
「本州や四国の生きものの亜種で」
「そうだね」
「そのエゾオオカミも絶滅したと言われていて」
 それでというのです。
「やっぱり生態系にね」
「影響が出ているね」
「そうだね」
「何かとね」
「あちらでも」
「そうなっているんだ
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