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ピンクのドレスを着ても
第一章

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                ピンクのドレスを着ても
 国咲家の家族の面々は今はふわりにドレスを着せていた、犬に服を着せるのはどうかという意見もあるがふわりに着せると彼女も嬉しそうに尻尾を振ってはしゃぐのでだ。
 時々今の様に着せている、それで今回は。
 ピンクのドレスを着せていた、そのドレスを着せてだ。
 国咲家の息子である洋介はふわりに笑顔で尋ねた。
「ふわりドレス好きか?」
「ワンワン」
 ふわりは彼の前にちょこんと座って尻尾を振って応えた、それを見て洋介は彼女にさらに尋ねたのだった。
「ピンク好きか?」
「ワンワン」
「あの、ふわり犬だから」
 すぐに母の百合子が息子に言ってきた。
「色はね」
「ああ、わからないか」
「そうよ」
「そうなんだよな」 
 洋介もそれはと応えた。
「犬ってな」
「色はわからないわよ」
「見えているのは白黒だよな」
「私達もね」
「哺乳類で色がわかるのってな」
 洋介はさらに言った。
「人間と猿だけか」
「そうよ、鳥は人間がわからない色も見えるけれど」
 それでもというのだ。
「蜥蜴や亀もね」
「哺乳類はか」
「だから虎もね」
 この生きものもというのだ。
「人間以外は森の中ではね」
「虎のあの黒と黄色はわからないか」
「だから保護色になってね」
「襲いやすいんだな」
「そうよ」
「あんな目立つ色でもな」
 洋介は腕を組んで言った。
「そうなんだな」
「同じ様な色で豹でもよ」
「やっぱり色がわからないとか」
「只の白黒だからね」
 そうとしか見えないからだというのだ。
「目立たないのよ」
「そうなんだな」
「そのことはね」
「犬、ふわりもだよな」
「同じよ」
「じゃあ何でふわりは喜んでるんだ?」
 洋介は今は嬉しそうに母親のところに来て撫でてもらっているふわりを見てその母にいぶかしむ顔で尋ねた。
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