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好色一代男が来ているので
第二章

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「お兄ちゃんいえ専務から言われて」
「いや、あの人なら大丈夫ですよ」
「あの人人妻さんとか彼氏持ちには手を出さないですから」
「確かに女好きですが」
「そうしたこともわかってる人なんで」
「しかも勘よくて相手が言わなくても察するんで」
「大丈夫ですよ」
 周りはこう言った、だが紅美はまさかと思ったが。
 実際その八条止は相手がいない女性にしか声をかけていなかった、紅美だけでなく正芳もであった。
 そんな彼を見つつだ、妹に囁いた。
「どうもあの人相手がいる人はな」
「それ私も聞いたから」 
 妹は自分に囁く兄に話した、社長である自分達の父と楽しく談笑するアロハシャツと膝までの半ズボン姿の彼を見つつ。
「そうした人みたいね」
「ああ、知らなかった」
「だから地味な水着にしろって言ったのは」
「すまなかった」
「いいわよ、私も警戒して」
 兄にクールな目で返した。
「そうした水着にしたし」
「だからか」
「いいわよ」
「そう言ってくれるか」
「それよりもよ、これからバーベキューでしょ」
「それと焼きそばだ」
 兄は即座に答えた。
「皆で楽しもうな」
「じゃあ焼きましょう」
「僕達もな」
「そうしましょう、折角の海だし」
「そうしたことも楽しまないとな」
「ええ、まずは自分達が動く」 
 紅美は今度は笑って述べた。
「それがね」
「会社を経営することだからな」
「それはこうした時も同じだし」
「じゃあ皆にな」
「食べてもらいましょう」
 好みの派手な水着でないことはやはり麩本気だ、だが。
 紅美はそれを気にすることなく兄と共に自分達のやるべきことに向かった、そうして会社の人達それに止にバーベキューや焼きそば自分達が率先して作ったそれを食べてもらった。止はそんな彼女に美味しいですと笑って言うだけだった。そして後日彼氏とプールに行った時に赤のすりんぐの水着を着て二人で楽しんでそちらのことを満足させたのだった。


好色一代男が来ているので   完


                   2023・2・16
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