吉報編 旅の終わりを見届けた者達
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が……この未来を掴んだのですね。クサンテ姫」
「うーん……正直、ちょっぴりだけ寂しいけど……でも、幸せならオッケーですよねっ! おめでとうございます、クサンテさんっ!」
ラオシャンロン撃退後、武者修行を経て再びドンドルマに拠点を移していたフィレットとカヅキ・バビロンは、名残惜しさを滲ませながらも同期の「引退」を素直に祝福している。
「はぁ……ったく、こんなことでいちいち手紙なんて寄越して来るなっての。……でも、まぁ……おめでとう、くらいは言ってやってもいいわ。イノシシ姫さん」
「……そうか。きっとそれが、お前にとっての『高み』だったんだな。おめでとう、クサンテ」
一方。同期の人脈を通じて古龍観測隊の気球に便乗し、故郷の仇を探す旅を続けていたエヴァンジェリーナ・アレクセーエヴナ・ゲンナージエヴィチ・グツァロヴァは、届けられた手紙に目を通すと不遜に鼻を鳴らしていた。だが、その口元は微かに緩んでいる。
何かと危なっかしい彼女の「お目付役」として気球に同乗しているルドガーも、そんな彼女の表情と手紙の内容に穏やかな笑みを溢していた。
「良かったぁ……! 良かったねぇクサンテっ……! こんなの、こんなの感動するしかないよぉお〜っ!」
「あぁもう、ひっつくなエクサッ! ていうかくっ付きながらベソかくな! 鼻水擦り付けんなぁああッ!」
閑古鳥が鳴いている、ドンドルマの寂れた鍛冶屋。そこで手紙を受け取ったジュリィは、武器の修理に来ていたエクサ・バトラブルスと共に同期の「引退」を報されていた。手紙の内容に号泣するエクサに抱き付かれ、鼻水まで擦り付けられているジュリィの悲鳴が、街中に響き渡っている。
「そうか……クサンテ姫、あなたはついに己の幸せを見付けられたのですね。このエレオノール、心よりお祝い申し上げます」
大自然に包まれたカムラの里を中心に活動していた、エレオノール・アネッテ・ハーグルンド。彼女も郵便屋から受け取った手紙に目を通し、華やかな微笑を咲かせていた。そんな彼女の隣に立つガレリアス・マクドールも、戦友の様子に穏やかな表情を浮かべている。
「これほど喜ばしい『引退』、なかなかお目に掛かれるものではないな。……君の方はどうなのだ? エレオノール」
「……生憎だが、私はまだ剣を捨てるわけには行かんよ。私にはまだ……追いかけていたい背中がある」
ガレリアスの言葉に振り返るエレオノールは、心に決めた想い人に愛おしげな眼差しを向けている。「手紙の内容」に刺激された彼女の頬は、微かに紅潮していた。
「こりゃあめでてぇ引退宣言だなぁッ! 今日ばっかりは飲んで飲んで飲みまくるしかねぇ、そうだろヒスイッ!」
「ダメに決まってるでしょ! 今日は休肝日にするって前々から決めてたじゃないですかっ! 昨日も一
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