第84話 死地へと送り込む
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定して軍事活動も活発なドーリア星域からの侵入を警戒したのだ、と。とすれば、
「やはり主力部隊の目標がダゴン星域であることは、ある程度見抜かれている。ということでしょうか?」
俺の疑問に、モンティージャ中佐は『それは俺の責任範疇外』と言わんばかりに肩を竦めて応えるし、爺様と言えば『そのくらいはシトレ(中将)も覚悟の上じゃろう』と冷めた顔をしている。帝国軍の主力部隊であるイゼルローン駐留艦隊一万五〇〇〇隻は、総力をもってティアマト星域を突破してダゴン星域に向かうことだろう。第四四高速機動集団の打通作戦の難易度は下がったとみていい。
「全て想定の範囲内じゃな」
爺様が司令席で腕組みをしたまま頷くと、補給終了後ただちに出発との指示をする。高速集団に随伴する中型補給艦が最後に巨大輸送艦から離れ、再び速度を上げて二度の長距離跳躍の後、一〇日〇九〇〇時、八箇月前に到着した場所に同じように出現し、跳躍宙点から慌てて逃げ出していく二一隻の帝国軍哨戒隊と遭遇した。跳躍宙点のルート哨戒の部隊だろうが、前衛部隊が咄嗟砲撃によって戦艦一隻と巡航艦三隻を撃破し、追撃によってさらに戦艦一隻を大破鹵獲、巡航艦二隻を撃破したが、残りの一四隻は取り逃がしてしまった。こちらも砲撃を受けた巡航艦一隻が小破し、戦闘能力喪失ということでエル=ファシルに送り返されることになる。
「後先考えない短距離跳躍に未来をゆだねた、彼らに幸運あれ」
光り輝く円盤の中に我先と逃げ込んでいく帝国軍駆逐艦の艦尾に向けて、モンシャルマン参謀長は呟くように吐き捨てた。彼らが跳躍前に司令部へ緊急通信を発しているのは間違いない。星域侵入早々、発見されたところでもう引き返すわけにはいかない。追撃は中止され隊列を再度整えると、一目散に隣接するトリエラストラ星系への跳躍宙点へと突き進む。
一二日にはトリエラストラ星系、一四日にはウリガット星系、一五日にはユールユール星系に侵入。やはり同じように少数の哨戒部隊だけしかおらず、これを砲撃によって蹴散らしながら突き進み、周辺を警戒しつつ第二戦速を維持したまま各艦一度の燃料補給を行い予定より一日遅れの一七日、ダゴン星域トルネンブラ星系との接続星系であるアトラハシーズ星系に到着した。跳躍宙点に敵戦力は確認されなかったが……
「指向重力波探知、逆探により発信源を確認。帝国艦隊らしきもの第二惑星軌道上に集結している模様。反応極めて大」
観測オペレーターの声に、司令部要員はそれぞれの席を立ち、爺様の座る司令官席を囲むように集まった。
敵地打通突破の都合上、事前に偵察部隊を先行させることはせず、集団で一斉に星系に入ってから想定航路先に高速艦艇を展開して強行偵察をするという荒っぽい偵察方法で我々はここまで潜り抜けてきた。しかしどうやら
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