第84話 死地へと送り込む
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込む陣形を形成。各艦損傷の無いことを確認した爺様は、正式に隷下全部隊全艦に対し、アスターテ星域からダゴン星域へ抜ける強襲打通作戦を指示した。
九日一四〇〇時、一二回の長距離跳躍と三〇数度にわたる短距離跳躍ののち、アスターテ星域との接続星域であるエル=ポルベニル星系に到着。通常航行速度を維持したまま、各艦は巨大輸送艦から燃料の最終補給を開始。バンズがパティを何度も圧迫するような動きで、巨大輸送艦の両舷側に数隻ずつへばりつくその姿は、大洋でクジラにへばりつくコバンザメとしか形容しようがない姿だ。その作業途中でドーリア星域から進発している哨戒隊より、『アスターテ星域よりドーリア星域へ向けて、帝国軍が盛んに強行偵察を仕掛けている』との報告が入る。
予定通りであれば、現時点で第八艦隊を主力とするダゴン星域攻略部隊はエルゴン星域とダゴン星域の接続宙域に侵入しつつあるはずだ。はてさてこの活発化の原因をどう見るか。
「ジャムシード星域に帝国側の諜報員がいるのは間違いありませんね。そこで第八艦隊以下一万隻五〇〇〇隻以上の主力部隊が侵入してくれば、何らかの警報が出るはずです。一般的な抗体反応でしょう」
情報漏洩を真っ先に疑われるであろうモンティージャ中佐は、視線の集中砲火を受けながらも、胃薬を手放せずにいた先週とは打って変わっていつもの陽気なカリビアンの剽軽な表情で応えた。
「だがそれならば、これからエル=ファシル星域へ向けても同じように強行偵察してもおかしくはないのではないか?」
強行偵察隊はせいぜい数隻の巡航艦で構成されるとはいえ、そんな危険な宙域での補給活動、護衛が付くとはいえ浮かぶ標的である巨大輸送艦が帰路で遭遇戦になるということだってありうる。そんな心配からカステル中佐は問うと、話を向けられたモンティージャ中佐は軽く手を振って応える。
「エル=ファシル星系防衛艦隊は藪蛇が怖いので『代替わり』してから積極的な偵察行動をしておりません。ジャムシードの帝国側諜報員がよほどのマヌケでない限り、あれだけ放映されたエル=ファシル帰還船団の動きは間違いなく察知しています。当然我々の護衛部隊も計算に入っているでしょうが、八〇〇隻ずつ分化して移動してますから、普通に『偽装誘引を兼ねての海賊掃討作戦しての動き』と考えるのが自然でしょう」
それら全てがエル=ファシル星域に補充された、と考えるよりも、一つないし二つの部隊がドーリア星域に増援として加わったと考える。仮に一六〇〇隻の増援が加われば、ドーリア星域の防衛艦隊の数は三六〇〇隻を超える。
民間人が帰還し、これから惑星復興しようという状況下のエル=ファシル星系を巻き込んでの軍事行動というのは、帝国側諜報員の視点からしても『非常識』と判断する。故に偵察行動は戦力的・政治情勢的に安
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