見滝原大学
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問に、二体のプラモンスターは肯定するように嘶く。
ハルトとコウスケは顔を見合わせ、大急ぎでプラモンスターたちが誘導する方へ向かった。
そして。
___息を吸い込んでいざ参りましょう___
聞こえてきた。歌声が。
小さく、儚く。だけれどもその底では根強さを感じるその曲が。
___そこはステージで命賭し___
本来ならば、ハイテンポの激しい曲だったのだろう。
それを、ゆっくりとバラード調にアレンジしたそれは、よりしっとりとハルトの耳に残る。
___君を忘れても ぼくは連れてくよ___
それは間違いなくサビだろう。
大学のキャンパス、その一画。新歓という年に一度の大仕事の手を止めて、誰もがそのゲリラ演奏を見守っている。
___孤独の果て 虚数の海 時が止まってしまっても___
果たしてその歌詞は、どのような意図で作られたのか。
ハルトにもコウスケにも、それを知る由はない。
___待つのは天国? それとも地獄かな?___
___この心臓を捧げてもいい___
___君と燃え尽きるのなら___
一瞬、ギターを弾く彼女の手が止まる。
そして、息を大きく吸い込み、最後の一節を口にした。
___芽吹く生命に祝福あげる___
長い、一節。
ふうっと彼女が息を吐き切ると、
「あ、ありがとうございます」
嬉しそうに、そして恥ずかしそうに、演奏者は頭を下げた。
すると、水を割ったように、拍手喝采が沸き上がる。
その中心。この歌を演奏していた彼女こそ。
「蒼井……えりか……!」
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