六十八 常山の蛇勢
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
せした。
よりにもよって、透明になるカメレオンだ。
その口の中に入って姿を隠すや否や、カメレオンの姿が周囲の景色と同化してゆく。
透明化した口寄せ動物が今、何処にいるのか、人間の眼では捉えられない。
次から次へと口寄せする厄介な動物達に散々苦しめられた自来也が、潰れた喉で途切れ途切れに忠告する。
懸念する自来也に、しかしながら大蛇丸は冷静に返した。
「───そう。でも関係ないわ」
消えたカメレオン。
透明になり、周囲の光景と完全に一体化した敵は人の眼には到底視えない。
だが大蛇丸は動揺ひとつせず、己の足元に蔓延る蛇達の動向を眼で追い駆けた。
「この子達の前では無意味だから」
刹那、視えないはずのカメレオン目掛けて一斉に、大蛇丸の蛇が殺到する。
【万蛇羅の陣】の小さな蛇と言えど数多の蛇が群がることで、カメレオンの姿形が浮き彫りになった。
身体中に纏わりつく蛇の群れに堪らず、姿を現したカメレオンの頭に、影が落ちる。
最初に水中に潜み、ペイン一体を食い荒らした巨大な蛇の尾が、カメレオンの脳天目掛けて振り落とされた。
カメレオンの断末魔が響く。
同時に、カメレオンの体内目掛けて、【万蛇羅の陣】の小さな蛇が咥えた刃物が一斉に突き立てられた。
ぼんっと白煙が立ち上る。
やがて、消えたカメレオンの体内に潜んでいたペインが姿を現した。
しかしながらその姿は見るも無残なモノだった。
さながら黒ひげ危機一髪の如く、凄まじい量の刃物が身体中に突き刺さっている。
【万蛇羅の陣】の数多の蛇が纏わりついた際に刺された数多の刃物をそのままに、ペインは虚ろな瞳で蛇の主人に視線を投げた。
直後、どうっと倒れる。
不意打ちとは言え、水中に潜ませていた巨大な蛇の襲撃に加え、口寄せの術を使うペインを続け様に斃した大蛇丸は、もう動かないペインを見下ろした。
「知ってる?蛇はね、目じゃなくて、」
途端、他のペインが大蛇丸に向かって襲い掛かる。
その攻撃が届く前に、ペインの身体に蛇達が纏わりついた。
小さな蛇ではあるが、凄まじい多さの蛇の重さと絞めつけがペインの動きを鈍くさせる。
己の蛇で敵の動きを止めた大蛇丸は、振り返らずに蛇の特徴を淡々と述べた。
「舌で位置や距離を正確に知ることができるのよ」
蛇には、熱や赤外線を感知するピット器官がある。
生き物などの体温をピット膜で感じ取り、その情報を三叉神経を通して脳がつたえることで、獲物の位置や大きさ及び距離などを正確に知ることができるのだ。
眼はあまり見えず、更に耳の穴や鼓膜はないので音もあまり聞こえない。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ