六十八 常山の蛇勢
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に心がざわついた。
里長として木ノ葉から離れられない綱手は、じっと雨の向こうを透かし見るように外を眺める。
遠く離れた里で、ひとり疎外感をなんとなく覚え、何故か無性に腹が立った。
奇妙な感覚を振り払いつつ、綱手は窓に額を寄せる。
が、力加減を誤り、頭突きされた窓のほうがピシッと罅割れた。
「ひぃっ」とシズネの怯え声を背中で聞きながら、綱手は内心自来也に八つ当たりする。
「帰って来たら…そろそろカッコつかなくさせてやるかな…」
雨音に?き消された声音は口調とは裏腹に、自来也の生還を心から願う響きを伴っていた。
「不意を突かれたとは言え…三忍は伊達ではなかったか」
水中から突如、ペイン六道の内のひとりを掻っ攫った蛇の口から、血が滴る。
空高くから降る血の雨を、弥彦の面影のあるペインは仰いだ。
仲間の死に激昂するわけでもなく、冷静に遺体を観察していた彼が、殊更ゆっくりと大蛇丸へ視線を向ける。
その“輪廻眼”が大蛇丸を標的と定める時には、大蛇丸は次の布石を打っていた。
「【万蛇羅の陣】!」
ぱかりと開いた大蛇丸の口から、おぞましい数の蛇が這い出でる。
無数の蛇は空を架す虹のように弧を描き、ペイン達の許へ押し寄せた。
ペインが何人いようとも、何万という蛇の大群が相手では埋め尽くされるのは必然。
通常の人間ならば鳥肌が立ち、そして成すすべなく生き埋めになるに違いない。
圧倒的な数で織り成された蛇の荒波は標的を呑み込まんと大きく口を開いた。
蛇の群れに流されるペイン。
その様子を油断なく見据えていた大蛇丸は、横から注がれる困惑の視線に気づくと、ようやっと自来也に向き合った。
ペインに喉を潰されて声が出ない自来也のもの言いたげな眼を見返す。
死んだはずだったのでは?どうやって此処に?という疑問だらけの視線に、大蛇丸は苦笑いを返した。
自来也の【土遁・黄泉沼】から引き剥がす際、ペインに蹴られたことで、サスケはごぽり、と吐血した。
その血の塊に実は紛れ込んでいた小さな蛇。それこそが大蛇丸が潜んでいた蛇だったのだ。
その蛇から無事復活を遂げた大蛇丸は、最初ペインの戦闘を遠巻きに観察していたが、因縁の相手である自来也が瀕死になっている光景に身体が無意識に動いてしまったのだ。
サスケの中に封印されたことで、サスケの思考や感じ方、そして意志を知り、大蛇丸は多少なりとも衝撃を受けた。
力を与えて、強引に導き、自分色に染めて身勝手に自分が判断するほうが子どもの、サスケの為になると思っていた。
だがその一方、自来也は
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