六十八 常山の蛇勢
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「───三忍舐めすぎよ」
「嫌な雨が続くな…」
布をひくかの如き静かな音を立て、絹糸のような雨が降り続けている。
窓を叩く水飛沫が水滴となって外の硝子に張り付いた。
静かな切れ目のない雨を窓越しに眺める。
薄い水煙で木ノ葉の里の輪郭がぼやけて見えた。
火影邸の傍に茂った木々を打ちのめすように降り続ける雨。
外を眺める綱手の背に、シズネはおずおずと声をかけた。
「自来也様なら大丈夫です…あの方がそうそう…」
そう励ましの言葉を告げてから、シズネは気づいた。
火影の机の片隅に積んである本の下。
挟んである木ノ葉新聞に、綱手が以前購入していた宝くじの結果発表が載っている。
その番号が、綱手が買ったくじの番号と同じに見え、思わず声が裏返った。
「つ、綱手様…!?こ、コレ…!」
「…なんだ」
「綱手様が買った宝くじ…!あ、当たってるんじゃ…!?」
「なに…っ!?」
シズネから引っ手繰るように新聞を覗いた綱手は、目を皿にして番号を睨んだ。
普段ギャンブルは悉く弱い綱手だが、大当たりが出る時も稀にある。
しかしながら、その時は決まって悪い出来事が起きるので、当たりがでた後は注意を払って行動を取るのが常だ。
故に自来也が危険な任務に就いているこの状況では当たってほしくない前兆だった。
シズネが見守る中、綱手はふー…と安堵の息を吐く。
とんとん、と番号の一部を指差して、彼女は苦笑を零した。
「一文字違いだ」
「あ…っ」
「まったく…肝を冷やしおって」
悪い前兆は免れた、と胸を撫で下ろした綱手は、外で降り続ける嫌な雨を振り切るように、肩越しに振り返った。
「あいつは帰ってくる…」
「え?」
困惑顔のシズネに、綱手は苦笑いを浮かべた。
そうして、わざと明るい声をあげる。
「私はそっちに賭けた…いつもはハズれるが、命を賭けた時は必ず勝つからな」
お金といった類いの賭けにはすこぶる弱いが、命を賭けた時は別だ。
そのジンクスを信じて、自来也の安全を願った綱手は、再び窓の外へ視線を投げる。
絹糸の雨中にぼやける里の街並みを眺めながら、なんとなく奇妙な心地を覚えた。
それは疎外感だった。
なんとなく、三忍でありながらひとりだけ除け者にされたかのような奇妙な感覚を覚えたのだ。
現在、自来也に手を貸しているのが敵であり、死んだはずの大蛇丸である事も。
自分抜きで三忍ふたりがペインと闘いを繰り広げている事も。
流石の綱手も知らないものの、三忍の繋がりというものか、妙
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