第三章
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「これは」
「そうかい、それは何よりだ」
「はい、それで今手に入らないのは椰子の実ですね」
「まだジュースやミルクは手に入るんだよ」
ココナッツのそれはというのだ。
「けれどなんだよ」
「器になる実が入らなくて」
「困っていたけれどな」
「その器はですね」
「これが使えるな」
ウェイトレスにパイナップルの実を見て答えた。
「椰子の実がなくても」
「それじゃあ」
「ああ、椰子の実が入らない間はな」
「パイナップルを使いますか」
「そうするな」
こう言って実際にだった。
グラシアはこのカクテルを出していった、そして。
彼はこの美味いしかも飲み心地がいいというカクテルにさらに工夫を加えてそれで店の者達に飲んでもらった。
「今度はクラッシュド=アイスを入れたんだ」
「そうしてみましたか」
「これはどうだい?」
「こっちもいいですね」
若いウェイターが答えた。
「とても」
「そうか、じゃあ今度はな」
今度は裏漉したパイナップルジュースを加えたものを出した。
「これだけれどな」
「パイナップルのジュースですか」
「裏漉したな」
そうしたというのだ。
「それを入れてみたけれどな」
「こっちも美味いです」
ウエイターは飲んでから答えた。
「とても」
「そうか、じゃあどっちもな」
「お店で出しますか」
「ああ、そうするな」
グラシアは笑顔で答えた、そしてだった。
やがてストライキが終わったがそれからもこのカクテルをココ=ロコと共に出した。そうしてであった。
そのカクテルの名前もつけた、その名はというと。
「ピニャ=コラーダでどうだ」
「裏漉ししたパイナップルですか」
「実際にパイナップルを使っていてな」
ウェイトレスに話した。
「そしてな」
「そうしたパイナップルジュースも使っているからな」
「だからですか」
「その名前にした」
「いい感じの名前ですね」
「そうだろ、これからはココ=ロコとな」
笑顔でだ、グラシアは話した。
「ピニャ=コラーダを店の看板にするな」
「そうしていきますね」
「ああ、これからはな」
笑顔で話した、そしてだった。
ホテルのバーは事実この二つで繁盛した。そしてどちらのカクテルも今は世界中で飲まれている。南国風のお洒落で美味いカクテルとして。
南国カクテル 完
2022・8・13
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