第二章
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「そんなことされるとな」
「あんたは大弱りだな」
「俺の売りはココ=ロコでな」
「ココナッツを扱うからな」
「それがないとな」
まさにというのだ。
「どうしようもないぞ」
「そうだよな」
「参ったな、どうするか」
「他のカクテルも作られるだろ」
「それでも一番人気はそれだからな」
ココ=ロコだというのだ。
「正直それは困るな」
「そうだな」
「ああ、どうしたものか」
グラシアはグラスを拭きつつ眉を曇らせた、そしてだった。
あれこれ考えた、既存の別のカクテルを出すかそれともこれを機に新しいカクテルを生み出すか。その中で。
パイナップルを使ったカクテルを注文されて作ったがここで店の若い黒人のウェイトレスに言った。
「ココナッツはやばいってのにな」
「パイナップルは充分ありますね」
「ああ、ここはパイナップルもよく採れるからな」
「カリブ海はそうした場所ですから」
「そうだな、肝心のココナッツはないってのにな」
それでもと言うのだった。
「これはな」
「ありますね」
「いいか悪いか別にしてな」
「パイナップルはありますね」
「こっちのカクテルは困らないな」
パイナップルを使ったそれはというのだ。
「そのことは有り難いな」
「そうですね」
「ああ、そうだな」
こう言った、だが。
ここでだ、彼はふと閃いて言った。
「これ使うか」
「もう使ってますよ」
「いや、今新しいカクテルを思いついたんだ」
こうウエイトレスに答えた。
「それにだよ」
「パイナップルを使われますか」
「ああ、こうしてな」
早速パイナップルを丸ごと出してだった。
その上の部分を切って芯をくり抜いてだった。
中にココ=ロコを入れた、そのうえでウエイトレスに言った。
「ちょっと飲んでくれるか」
「試しにですか」
「俺のおごりだ」
笑ってこの言葉も出した。
「それで飲んでくれ」
「おごりですか、それじゃあ」
「ああ、飲んでくれ」
ウェイトレスに笑顔で話した、それを受けて。
ウェイトレスはパイナップルの中のココ=ロコを飲んだ。そして一口飲んだ彼女にグラシアの問いが来た。
「どうだい?」
「いけますよ」
ウェイトレスはグラシアに笑顔で答えた。
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