暁 〜小説投稿サイト〜
道頓堀
第四章

[8]前話
「これはまた」
「けど面白いでしょ」
「それはな」 
 実際にとだ、ローズも認めた。
「見てるだけで」
「これが阪神ファンです」
 吉田はローズに笑顔で話した。
「阪神が好きで好きでしゃあなくて」
「身体全体で喜びを表現するんやな」
「そうです、大阪もそうした街ですし」
「賑やかで飾らんでな」
「明るくて楽しくて」
「それで阪神ファンもやな」
 彼等もというのだ。
「ああするんやな」
「優勝したら」
「成程な」
「それでどうですか?」
 吉田はローズに笑顔で問うた。
「大阪と阪神がさらに好きになりました?」
「なったわ、それでここもさらに好きになったわ」
「道頓堀も」
「そうなったわ」 
 ローズは吉田に笑顔で答えた。
「ほんまや」
「大阪も阪神も最高ですね」
「道頓堀もな、それは出来んけど」 
 ローズはここでは残念そうに語った。
「ずっとや」
「大阪にいたいですか」
「今ほんまに思ってる」 
 現在進行形でというのだ。
「前からやったが」
「そちらもさらにですね」
「そや、こんなええ街ないし」
「ええチームもないですね」
「大阪は永遠にこうであって欲しいわ」
 こうも言うのだった。
「ほんまにな」
「そうですね、明日会社も賑やかですよ」
「阪神優勝したからやな」
「そうです、ほんま大阪も阪神も最高です」
 吉田は満面の笑みで語った、他の同僚達も笑顔だった。ローズはそんな彼等も見てあらためて思った。その時が来ればこの街を去らねばならないことが残念だと。
 それでだ、吉田にこう言った。
「ここにおる間はな」
「大阪に」
「大阪を満喫するわ」
「そうしてくれますか」
「そしてまた来るわ」
 アメリカに戻ってもというのだ。
「そして何時か大阪にずっと暮らせる」
「そうなりますか」
「そうなる様にするわ、ほんま大阪ラブや」 
 ローズも満面の笑顔になった、そのうえで堀に飛び込むファン達を見た。彼等もまた満面の笑みであった。


道頓堀   完


                     2022・8・15
[8]前話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ