人魚姫の夢
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にされた。ねえ、哀れじゃない? それともアンタ達にとっては、あたしなんかどうでもいいんだね……そりゃ、自分の願いのために他人を蹴落とすんだもんね」
「「……!」」
マーメイドが言い終わるのと、その全身が完全に液体になるのは同時だった。
強張った顔を浮かべるほむらと鈴音。
対してリゲルは、その両目にゴーグルを装着し、マーメイドが消えた足元を観測していた。
「暁美ほむら! 後ろよ!」
「! まどか!」
ほむらの背後には、動いていないまどかがそのままいた。
その言葉が正しいというように、まどかはすぐ背後で動く気配を感じた。
「まどかァ……まどかは、今でもあたしを友達だって認めてくれるかな?」
髪から水を流しながら、ゆっくりと起き上がっていくさやか。目を大きく見開き、さらに高く吊り上げた表情に、まどかは一瞬、さやかから後ずさりしてしまった。
「……ねえ? 何、その顔」
「え?」
「もしかして、怖いの? あたしがさ」
「!」
その言葉に、まどかは開いた口が塞がらなかった。
そして、自らが拒絶を示す手をさやかへ伸ばしていたことに気付き、慌てて手を引っ込める。
その手を見下ろしながら、さやかは俯く。彼女の顔を通り、顎から落ちていく水滴。
決してその目は通らないその水は、地面に落ちては即座に蒸発していく。
「そっか……人間じゃないあたしは、怖いんだ……」
「そんなこと……」
それを否定しようとするまどか。
だが、それ以上の言葉が紡がれるよりも先に、彼女のレイピアが首元へ突き刺さる。
「ヒッ……!」
「じゃあさ。あたしと同じになってみなよ」
さやかの顔が、前髪に覆われて見えない。
ほむらも、リゲルも、斜線上にまどかがいる以上、下手な手出しはできない。さやかの一挙手一投足を、固唾を飲んで見守っていた。
「そんな顔したって認めたくないならさ、絶望して、あたしと同じファントムになってよ……! 友達が怪物になったって絶望してよ!」
「……!」
叫んださやかは、やがて静かに体を起こす。
「無理だよね……当然だよね。あたしは所詮、アンタにとってはそれくらいの存在だもんね!」
「ちが……」
まどかは、反射的にさやかへ足を動かす。だが、そんなまどかの腕を、ほむらが掴んで止めた。
さやかは、その体を再び液体に変えていく。ビチャビチャと水音を立てながら、その体を溶かしていく。
「さやかちゃん……」
「まどか……あたしたち……もう、友達やめよう」
さやかはそう言い残し、コンクリートの廊下の中に消えていった。
しばらくそれを見つめていたリゲルは、ゴーグルに手を当てながら告げる。
「反応なし……彼女はもう、この学校から
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