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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第70話:剛毅さは無鉄砲の裏返し?
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たほうがいいよ」

「・・・感謝する」

ザフィーラは俺から顔をそむけると,小さな声でそう言った。

「感謝するのは俺の方さ。そんなになるまで必死にヴィヴィオを守ろうと
 してくれてありがとう。じゃあ,俺は行くよ」
 
そう言って俺はザフィーラの病室を後にした。



自分の病室に戻った俺は,医師に呼び出され検査のために診察室へ向かった。
診察室のベッドに横たわった俺の身体の色々な部分を医師が触診していく。

医師の手が俺の腹に触れたところで,鈍い痛みが走った。
俺は極力平静を装おうとしたが,医師はしっかりと俺の顔を見ていた。

「・・・まだ,かなり痛むんですね?」

「そんなことはありません」

俺がそう言うと,医師は俺の腹に先ほどよりも少し強めに触れた。
痛みに俺は思わず息を漏らす。

「医者はだませませんよ・・・まったく,本来なら退院どころか
 院内を歩き回るのも禁止したいくらいなんですがね・・・」

医師はそう言ってため息をつくと,俺の顔を見つめた。

「シュミットさん。ご自分の身体のことですから御承知とは思いますが,
 本来ならあなたは歩けるような状態ではないはずです。
 今も,一歩歩くごとに痛みが走るのでしょう?」

俺は医師の言葉に小さく頷いた。

「そのような状態で見た目だけは平然と歩いているあなたの精神力には
 敬意を表しますが,医師としては称賛する気になれません。決して」

医師の厳しい視線に俺はつい目をそらしてしまう。

「とはいえ,騎士はやてには歩けるようになったら退院を認めるように
 とも言われてますからね。退院しても結構です」

医師の言葉に俺は安堵の息を漏らす。
が,医師はそんな俺を見て,大きなため息をついた。

「まったく・・・騎士はやての言うとおりですね・・・」

「はやては何と?」

「あなたは痛みがあろうが歩ける以上退院させろと言うはずだ。
 それを無理に入院させ続けたところで,あなたは脱走してもおかしくない。
 そんなことで迷惑をかけるわけにいかないので,身体の状況によらず,
 曲がりなりにでも歩けるまで回復したら退院させてくれと」

「・・・お見通しか」

医師は俺の呟きに小さく頷くと,真剣な表情で俺を見た。

「と,いうわけですので,明日の朝に退院して結構です。
 が,これだけは約束してください。
 絶対に前線に出ないこと。無暗に歩きまわらないこと。
 何か異常を感じたらすぐに医師に見せ,指示に従うこと。いいですね?」

医師の言葉に俺は大きく頷いた。

「前線に出たりしたら,長く後遺症に悩まされることも考えられますからね。
 あと,機動6課に戻ったら,隊のシャマル医師にこれを見
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